日誌の2ページ目は、いよいよ蒸溜所の訪問記。
先日、いま最も見てたかった蒸溜所を訪問してきました。
今年初め、スコットランド本島北端の街サーソーに、颯爽と登場したウルフバーン蒸溜所です。新しい蒸溜所が立ち上がるにしては、あまりにも唐突なニュースで驚きましたよね。現地で話を聞いて、ようやくその理由が分かりました。
さて、サーソーという街ですが、そもそもへんぴな場所で遠いのです。朝、インヴァーネスを出発して、東海岸の美しい景色を眺めながら、スコットランドを南北に貫く国道 A9 をひたすら北上していきます。休憩も含めるとクルマに揺られること、3時間以上。
ようやく辿り着いたサーソーは、人口9千人弱の小さな街です。といっても、スコットランドの田舎町を見慣れてしまうと、ちゃんとした大きな街に感じられます。
ウルフバーン蒸溜所は、その郊外の小さな工業団地の中にありました。看板も出ていなくて、全く飾り気のないダークグレーの外観の建物。
ドラフを運び出すカートが止まっていなかったら、そこがウイスキーの蒸溜所だとは誰も気づかないでしょう。実際、私たちも一度は通り過ぎてしまいました。
場内は、砂利を敷いただけ。モルトを搬入するコンベアは、埋設されておらずに剥き出し。外壁のコンクリートは、素人の手作り。
豪華で立派な蒸溜所を見てきていると、あまりのスッキリさにビックリするでしょう。私の知る範囲で例えるなら、キルホーマンに近い感じです。
サイトで事前に確認していたので、その様子は分かっていたはずなのですが、やはり実際に自分の目で見てみると、存在感の無さは不思議なほどでした。
しかし、その静かな佇まいには、彼らなりの考えがあったのです。
つづく