いっぽんのケーブルに引かれて、
急坂を引き上げられるようにして高野山へ至る。
むかし都から道中五日かけて、ようやくたどり着いた高野山へ、
いまでは難波から南海電車で簡単に行ける。
この嶮しいところに、鉄道を拓いた南海電鉄は偉いと思いながら、
いよいよ、弘法大師空海が開いた高野山だ。
八つの峰に抱かれて、東西5.5km、南北2.2kmの、標高900mに近い霊地は、
そのまま、巨大なマンダラをあらわすと言われている。
真言密教の奥義。
世界は森羅万象、大日如来の徳により生かされているのだという。
ならば、果たして、バイヤーも生かされているのであろうか。
其処のところが知りたくて、
難波で、高野山フリーキップを購入して、やって来たのだ。
コンニチハ。
世界遺産高野山は、いま真言密教の奥義を求めて、
世界中から旅人が訪れている。
飲んでしまった旨いウイスキーの、
果たして、ウマイと感じるその刹那とは何か。
酔いとは何か。
熟成とは何か。
――真言密教の教えでは、
人のそなえる「価値実現」の限りない可能性が讃えられている。という。
凡夫の身でも、すみやかにホトケになれるという、
その究極の理想世界とは、どのようなカタチで現出するのか。
その一端にふれることが出来れば・・・、
そんな思いを、ちゃらんぽらんに感じながら、
とにかく行って見ようと、こうして弘法大師への旅に出たのだ。
――もちろんその旅は、じつにイーズイだけど、
ただ其れだけでは収まらなかった。
――高雄山寺=神護寺。
――京の東寺。
・・・そして伏見の稲荷。
――二上山山懐の當麻寺へと・・・、
弘法大師空海の道を辿る旅となったのだ。
・・・・・・続。
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