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■「コンバルモア」或は20世紀のモルト遺産


 CLUBの12月のお奨めモルトは、
 UDのレアモルトセレクションから、
 【コンバルモア 1978 24年 59.4度】

――これは、いまどきのモルト・トレンドとはハッキリと一線を画す、
麦芽風味の生きる、苦味走った、伝統的なオールドスタイル。
それでいて、痺れる舌先のうえは、あくまでも甘く、まろやかでフルーティ・・・。
いまとなっては、なんとも好ましい、希少でディープで豊穣な味わいは、
まさに20世紀のモルト遺産だと、言い切れる。
それはまさに、タンシチューとか、ビーフストロガノフとかの、
食事のあとに、ピッタンコのイメージだ。
と言えば、飲まない人にも、イメージは通じるかもしれない。

――1985年に既に閉鎖されて、
フィディックの倉庫となってしまったというコンバルモア蒸留所。
ボトル№1013の貴重なモルトを味わいながら、
いまでは、Google MAPで空から、イーズィーに訪ねることが出来る。
失われた蒸留所、DUFF TOWN BANFFSHIRE とは、
どの辺りなのであろうか。

・・・そういえば、昔ダフタウンで昼飯を食べたことを思い出した。
インバーネスからA96でネアン→ゴーダー城→エルギン→キースと訪ねて、
キースのB&Bに泊まり、朝の美しいストラスアイラ蒸留所から、
B9014の田園風景を南西に走って、キャッスルロードを右折すると、
そこは広大なグレンフィディック蒸留所。
その先の、バルヴィニーストリートの突当たりの塔が、DUFF TOWNなのだ。

その塔の交差点の片方が、コンバルストリートだから、
その辺りで、このモルトは出来たのであろう。
スコットランドの山奥から、70年代の空気を詰め込んで、
それが四半世紀を経て、いまここに、こうして在る。

なんだか不思議なご縁といおうか、じつに味わい深いワンショットだ。
その道の途上で、コンバルモア蒸留所の記憶はないが、
その道 B9009で山へ向うと、
遥かヒースの丘の向うには、グレンリヴェット蒸留所が見える。
それで、B9008へ抜けて、ノッカンドウとか通って、
トミントゥールから、A939・A93とグランピア山脈を越えて、
スペイサイドから、ローランドへとモルトの旅は続くわけだ。

#■MALT WHISKY

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