MENU

グレンリベット12年/「The Royal Scotsman」小貫友寛さん


 

小さい頃からの夢は、コックさん。幼稚園から帰ってくると、台所に立つ祖母の隣に並んだ。16歳でフレンチの料理人を目指し、24歳で渡仏。一流のビストロで修行して3年が経つと、小貫友寛さんはノルマンディーへと向かった。

ノルマンディー上陸作戦(※)が行われた現場に立ち寄ると、奇しくもD-Dayで記念式典が行われていた。軍服姿の退役軍人などが行進する中、バグパイパーの一行が目の前を通り過ぎて行く。初めて生の演奏を耳にした小貫さんは、その音色に痺れ、パリへ帰るとすぐに店を辞めてしまった。

一筋に打ち込んできた料理を投げ出してでも、パグパイプを吹きたい。ビザが切れるまでの半年間、先の一行から紹介された先生に就いて、ひたすらパグパイプの練習をした。その先生が好んで飲んでいたのが、グレンリベット12年だ。

「フェスティバルなどのイベントで演奏する前に、メンバーでグレンリベットのボトルを回し飲みするという儀式がありました。一本空になるまで、皆で飲み続けましたね。パブにもよく連れて行ってくださって、本当に楽しかったです」

帰国してからパブで働き始め、同時に仙台の名バグパイパーであるジェラルドさんのもとへ月2回ほど通ってバグパイプを学び続けた。フランスで感じたような、温かいパブを大好きな町で開いてみたい……。その思いが結実したのが、神楽坂の「ロイヤルスコッツマン」である。

今ではビアフェス、ウイスキーフェスなどのイベントで欠かせない小貫さんのバグパイプ姿。それまで積んできた経験を思わせるような情感あふれる音色に観客は酔いしれ、気勢が上がるのだ。
 
 
※第二次世界大戦中の1944年6月6日、米・英・カナダの連合軍がフランス北西部のノルマンディー海岸へ仕掛けた史上最大の侵攻作戦。D-Dayはアメリカの軍事用語で、作戦(攻撃)開始予定日を表す際に用いられた。

 
小貫友寛氏
The Royal Scotsman
東京都新宿区神楽坂3-6-28 土屋ビル1F
03-6280-8852
17:00~00:00(土15:00~00:00、日・祝15:00~23:00)
月曜休み

絵:佐藤英行 文:いしかわあさこ

 

#思い出のボトル

この記事を書いた人