MENU

ザ・マッカラン12年/「Bar SALVAdOR」鈴木裕介さん


 

ドイツのボトラー“ザ・ウイスキー・エージェンシー”の芸術的なラベルが並ぶバックバーは壮観だ。「バックバーはひとつの絵」と話す鈴木裕介さんは、アートと音楽に目がない。子どもの頃からスペインの画家サルバドール・ダリのファンで、自身の店名にしてしまった。2005年の開店前、毎日繰り返し聴いていたのがアメリカのジャズ・サックス奏者、ソニー・ロリンズのアルバム『This Is What I Do』。偶然にも、1曲目は”Salvador”だった。

そこから鈴木さんが手に取ったのは、「ザ・マッカラン12年」。派手なアートラベルと比べると、シンプルでスタンダードな1本である。1990年代に流通していたもので、現行のものとはラベルも味わいも異なる。初めて勤務した中野のバーに置かれており、当時シングルモルトはたった2本しか取り扱っていなかったという。

「20年くらい前ですから、モルトを扱うバーはほとんどありませんでした。それまではバーボンを飲んでいたのですが、このボトルに出会って香りの良さと滑らかさ、華やかさに驚きましたね」

薬品メーカーによって日本にマッカランが輸入され始めたのは、1970年代後半。シングルモルトのロールスロイスと称されるなど、人気の高い銘柄だ。それから鈴木さんは給料日に18年を、年に一度25年を飲むようになった。これを飲むために頑張ろう、という励みの一杯があるのはいい。

12年から25年へ、徐々に熟成されて濃厚な色と深い味わいを帯びてくるマッカラン。鈴木さんにとって懐かしく、いまも憧れのウイスキーだ。 

 
鈴木裕介氏
Bar SALVAdOR
東京都新宿区高田馬場1-29-6 野菊ビル2F
03-3204-7222
18:00~02:00
日曜休み

絵:佐藤英行 文:いしかわあさこ

 

#思い出のボトル

この記事を書いた人