2011年3月、「ボルス・アラウンド・ザ・ワールド」(※)のファイナルにアジア代表として出場するため、オランダ・アムステルダムへ飛んだ新井洋史さん。大会の選手が集うミーティングルームへ顔を出すと、テーブルの上に「ジュネヴァ」など数種類のボトルが並べられてあった。
ジンの起源といわれるシックな黒いボトルのジュネヴァは、ライ麦、トウモロコシ、小麦を単式蒸溜器で3 回蒸溜したスピリッツ。ウォッカのように透明でありながら、ウイスキーのような風味をもつ。それをオーク樽で18か月以上熟成させた「バレルエイジド」という製品があるが、コーレンヴィン6年はその表記のとおり、さらに熟成させたものになる。草や土のようなフレーバーと、柔らかい甘さが広がる逸品だ。
「香り、甘味、喉越しなどのバランスがいいんです。さらに熟成されたタイプもありますが、6年がベスト」
オランダではこれをチューリップグラスに注ぎ、ストレートで飲むのが主流。通常のジュネヴァは冷やして飲むが、コーレンヴィンは常温がいい。チェイサーは、同じオランダ産のビール、ハイネケン。大会前に選手達は、ジュネヴァの研究室などいろいろなところに案内されるが、必ずジュネヴァが供される。朝から夜まで、連日皆で飲み続けた。
あまりに飲み過ぎて、オランダではもうボトルを見たくないとまで思った。しかし、日本に帰ってきて飲んでみると、共に過ごし戦った友人と、あの日の感動を思い出す。新井さんはこの大会で、世界2位を手にした。日本人初の快挙だった。
Bar 猫又屋(バー・ネコマタヤ)
栃木県足利市家富町2222-2
0284-43-2678
19:00~02:00(土~03:00)
日曜、第3月曜休み
絵:佐藤英行 文:いしかわあさこ
#思い出のボトル