上はグレープフルーツ・ジュース、下は紅茶。2層を混ぜて飲むと、爽やかなフレーバーが広がる…。會津敏昭さんは、横浜の老舗紅茶専門店「サモアール」でこのセパレートティーに出会い、リキュールを使って再現したいと考えた。しかし、世界中から紅茶リキュールを取り寄せて試作したものの、いずれも満足できるものはない。そこで、自らつくろうとリキュールの開発に着手した。
「やっと見つかった。このアールグレイ茶葉を使えば、最高の紅茶リキュールができる」
スリランカの名ティー・テイスター、アンスレム・ペレラ氏が選ぶ茶葉。品質の高さは言うまでもなく、花のような香りと爽やかな渋みが印象的だった。それからは、アルコール1ℓに対して茶葉は何g使用するか、その絶妙な比率に辿り着くまで幾度もテイスティングを繰り返した。
そして2007年、リターナーの前身である「ルーシー」が誕生するが、會津さんはまだ改良の余地があると睨んでいた。ベースとなるアルコールを変え、度数も25度から24度へ。それにより茶葉から出るエキス分が濃くなり、まろやかになった。2013年、「リターナー」の誕生だ。グレープフルーツ・ジュースとトニックウォーターで割ったカクテルは、「ザ・リターナー」と名付けられた。
ほかの紅茶リキュールとの最たる違いは、牛乳で割ったときのフレーバー。100%オーガニックでつくられているため、ごく自然なロイヤルミルクティーを感じることができる。ケミカルだったり、紅茶の香りが飛んでしまったりすることはない。
今や国内外で話題の紅茶リキュール。カルーア・ミルクのように、その名が定着する日はそう遠くないかもしれない。
GRAND MASTER(グランドマスター)
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無休
絵:佐藤英行 文:いしかわあさこ
#思い出のボトル