最後のセミナーはグレンドロナック。今となってはマッカランよりもシェリー樽にこだわっている気がする蒸留所です。今回のテイスティングは6種類。
上段左から
15年
14年 Virgin Oak Finish
15年 Moscatel Wood Finish
1991年(18年物) オロロソ シングルカスク cask No.2512 ABV51.9%
下段左から
1990年(20年)ペドロヒメネスパンチョン シングルカスク cask No.3068 ABV52.6%
1971年 ペドロヒメネス シングルカスク cask No.441 ABV48.1% (for K6 & Canbelltown loch)
期待通りの豪華な布陣。最初にドロナックの歴史やこだわり、工場のスペックなどの講義がありました。工場のスペック好きとしてはたまりません。
マッシュは1バッチ3.76t。
マッシングのお湯は1st 11,000lで65.5℃、2nd 11,000lで84℃、3rd 9,000lで98℃だそうです。仕込水はBalnoon Damの水で週16回のマッシングだそうです。流通量にしては結構多い印象ですね。
発酵槽はオレゴンパイン製×6、スコットランドカマラツ製×3と全て木製。
ポットスティルは初溜2基、再溜2基の計4基。バルジ型でラインアームが急角度になっており、ワームタブはなく、すべてコンデンサー(シェルアンドチューブ)だそうです。ラインアームの角度が急だと蒸気中の重い物質が原酒に残っていく為、比較的重厚なモルトができあがります。
倉庫は3棟がラック式、3棟がダンネージ式の計6棟。35,000樽が寝ており、その9割近くがシェリー樽だそうです!す、すばらしい。
実際にテイスティングをしてみて面白かったのが、さっきからシェリーシェリーと騒いでいる割にはバージンオークが面白かったです。いつかあった余市の新樽ではないですが、非常にオイリー、ナッティー、強いタンニンを感じ、椎茸臭も若干しました。とにかく密のような濃厚な甘さが印象的。
京都のK6と有楽町のキャンベルタウンロッホ向けの1971年はもう良すぎて何だか分からない感じ。シェリー樽の裁き方が非常に秀逸。じつは他の2つのシングルカスクはシェリー樽の硫黄香が若干気になったのですが、これに関しては全く気にならず、シェリーのいいところだけを出せている感じ。しかも39年の割には芯がへたっている感じはなく、しっかりとシェリーをまとったエレガントなお酒に仕上がっています。こんどキャンベルタウンロッホに飲みに行こうかな。
ドロナックは量より質で勝負したいと言っていました。そのためにも樽の選定は最重要課題であり、これからも樽の質は追求し続けたいと。いいことです。すばらしいことだと思います。実はちょっと前までこのグレンドロナックはペルノ・リカールの所有でどちらかというと、ブレンデッド用の原酒を造らされ、アライド時代には休止させられていたという運命をたどっていました。ところが独立系のオーナーに渡ったことによってシングルモルト中心の生産になったそうです。ドロナックにとっては良い方向に回り出したのではないかと思います。
しかしセミナーが終わることには結構酔っぱらってしまい、中には完全に寝ている人も多く見受けられました。なんか講師に失礼というよりも、勿体ない気がしました。
セミナーが終わったのが17時過ぎ。同業者O氏も私ももう飲めないとなり、余った金券を知り合いにあげて閉会式前に引き上げました。
なんか年々酒が弱くなっているのが分かるのですが、参加できるうちはこれからも毎年参加と思います。楽しい一日でした。
#whisky and whiskey