MENU

本坊酒造 信州ファクトリー訪問 その2


さて、続きです。ポットスティルを満喫した後は、発酵槽へと順路を逆に進みます。ここの面白いところは発酵槽が木材でもステンレスでもなく、鉄。本当は琺瑯やステンレスタンクに変えたかったそうなのですが、そうなると、屋根や壁を引っぺがして取り替える必要があり、コスト増に繋がるとのことであきらめた経緯があるそうです。鉄はメンテナンスが大変なんだそうです。錆びそうですし、酸に弱そうですし。。。



このマルスの最大の特徴は、酵母を自家培養しているということ。日本の他の蒸留所では見かけませんね。やっているのかもしれませんが
こういう設備を見られるのは貴重です。元々本坊酒造は焼酎メーカーですから、酵母とか麹の管理なんかは得意なのかもしれませんね。写真は噂の酒母タンク(培養タンク)です。見学後にこっそり行って職人さんに許可を得て撮影しました。


フラスコからスケールアップして2リットルまで増やし、その後500リットル超の培養タンクで一気にスケールアップするそうです。なにやらそれらを行うらしい器具が置いてありました。


 
この酵母の自家培養というのはバーボンの蒸留所がやってますね。バーボンの味を決めるのはマッシュビル(各穀物の配合比率)と酵母だと言われており、各蒸留所が大事に大事に培養して使っています。スコッチウィスキーが酵母に関しては外から買ってくるのとは対照的ですね。マルスのウィスキー製造方法はその歴史から当然スコッチウィスキーと同じですが、この酵母の自家培養だけはバーボンっぽいですね。ケンタッキーに行かなくてもこれが見られたのは本当に幸運でした。


 
これはいわゆるマッシュタン、糖化槽です。粉砕した大麦にお湯を入れて麦汁を取り出すものです。糖化→発酵→蒸留という順序をたどりますが、今回はその順序を逆に進んだわけです。


 
そして見学の最後に熟成庫へ。もの凄く小さいという感想です。え?これだけ?みたいな。地面は当然のごとく土がむき出しの状態で2本の鉄製レールが引いてあります。



といっても積み方はダンネージ積みではなく、5段ラック式。しかも高段になるとフォークにパレットを何段も重ねて運ぶという作業を行うそうです。さらにラックの奥の樽は取り出せないというなんとも残念な配置方法なんだそうです。



面白い樽がありました。いわゆる新樽ですが、大きさがちょっと変。ホグズヘッドにしては大きいし、パンチョンやバットにしては小さい。これ、いわゆる焼酎の樽なんだそうです。といっても焼酎が入っていた古樽ではなく、焼酎の樽と同じスペックの新樽だそうです。焼酎メーカーならではですね。個人的には大きさ的にもいい感じに熟成される気がしますね。



そして待ちに待った試飲。無料、有料試飲を楽しみました。この信州ファクトリーは3万平米の敷地を5人で管理しいるそうです。と言うわけで有料試飲コーナーは工場長、製造主任が直接販売、サーヴします。なんか恐縮してしまいますね。シングルカスクの1988年がうまいと評判でした。



また、信州ファクトリーは工場が所在する宮田村と合弁で地ビールも作っており、それらの有料試飲もありました。これがめちゃくちゃ美味しくてビックリしました。その辺で売っている地ビールなんかよりは全然レベルが高い。アンバーエールという黒ビールと普通のビールのハーフ&ハーフみたいなビールやアップルエールというリンゴを使ったビールが人気でした。



工場の外にはなにやら古めかし機械が。よくみると、なんとシェルアンドチューブとワームタブではないですか!工場長に聞くと、これらだけは工場再開の際に取り替えたそうです。



シェルアンドチューブの中身です。管の中に細かい管が無数にあります。この中を蒸気が通り管と管の間を水が通って熱交換を行うというコンデンサです。頭では知っていましたが、実際に見たのは初めてです。



ワームタブの中身です。これも初めて見ました。管が桶の中で螺旋場に敷かれ、桶の中に水を満たしておくことで熱交換を行う物です。実際は桶の中心部には水が入らないように節水設計になっているようです。実は高いところがダメでへっぴり腰で取ってしまったため、全体像が分からないと思います。きゃず3氏のブログが秀逸ですので見てください。わかり易く写っています。



一部のマニアだけで写真を撮っていると、何々?何かあるの?とばかりにぞろぞろとワームタブに集まり、いつの間にかワームタブの中撮影会になってしまいましたw。この人たちのなかでこれが一体何なのか分かって撮影している人が一体どれだけいることやらwww


この後、何故か蒸留棟の上にあるキルンをバックに全員で記念撮影し、帰路につきました。もちろん帰りも渋滞に巻き込まれて、小便できないプレイに悶絶したのは言うまでもありません。

と言うわけで、見学3時間、移動往復10時間wの長旅でしたが、総じて満足する見学会でした。特にここならではの設備を見れたことは非常に良かったと思います。マルス、今後を非常に期待しております。

#whisky and whiskey #pleasant journey

この記事を書いた人