『光陰矢のごとし』、まさしくである。
未成年だった僕は今、そのころの倍以上の年齢になってしまったし、今年も半分
以上が終わってしまった。
ウィスキーもそうなのかなと最近思ってしまう。
日本から来たウィスキー・バイヤーの友人が『最近は、80年代のウィスキーをよく
テイスティングをします。
これからは80年代が主流になってくると思うので。』と言っていた。
たしかに最近60年代は勿論、それに70年代のウィスキーすら少なくなってきた様な
気がする。
ちょっと前なら(どのくらい前かははっきりしませんが)60,70年代のウィスキーは
まだ身近だった様な気がする。
しかし考えてもみれば80年に蒸留されたウィスキーでも今年で立派な30年物なので
ある。
80年代前半と言えばスコッチウィスキー業界にとっては大変な時期であった。
大手DCLの蒸留所をはじめ、数多くが閉鎖された。
今となっては皆が首を縦に振る、本当に惜しい蒸留所ばかりである。
ウイスキーの供給だけで需要が少ない次期だったのだ。
しかしそのお陰と言っては何だが、本来そこまで熟成を待つはずがなかった
ウィスキーが、それから長い日を経て僕たちの手元に来たわけである。
皮肉な事である。
また、友人が言ってた『80年代のウィスキーもそこまでスットクが多いとは思えない。』
なぜなら80年代前半に閉鎖されなかった蒸留所でも生産が規制されたからだ。
週7日から3日に生産量を減らした蒸留所も少なくない。
そうなると今度はいよいよ90年代のウィスキーを中心に飲む日が来るのだろう。
しかし当たり前かもしれないが、2020年代になる頃にはそのウィスキーも30年物に
なっているのである。
『2020年代ってまだまだやん!』と思うなかれ、『光陰矢のごとし』であっ!という間
だと僕は思っている。
その頃次の世代が『やっぱり80年のは今のとは違いますねぇ』に『何言うてんの、その
前のはもっと美味しかんやでぇ』みたいな感じで、立派なオヤジになってるのかなと
今から気が気でない。
#皆川達也のハイランダーイン日記