2010年のハイランダーイン・アニュアルボトリングはグレンドロナックだった。久しぶりのディスティラリーボトリングだったせいか…?気合が入った。そして日本の方をはじめ海外からもポジティヴなコメントを沢山もらった。 素直に『美味しいですね!』は勿論、『クラシックなウィスキーですごく良い!』本当にうれしい限りです。中には『いいカスクを選びましたね…』と言う声もある。これにはちょっと待てよと僕は思ってしまう。
ディスティラリーボトリングでも、インディペンディングボトラーズでも僕の仕事はさほど変わらない。そして、良いカスクを選ぶのもそんなに難しい事ではないと僕は思っている。重要なのは自分の好みと他の人の好みのバランスではないだろうか。僕が『GOOD!』と思っても他の人がそうとは限らない。また『市場はこういうのが好きなのでは?』という考えでボトリングすれば、飲んだ人は僕がそういうウィスキーが好きだと思ってしまう。『僕も好きで、皆も好き』のバランスで僕は選んでいるような気がする。
しかし実のところ、1番大切な鍵は良いサンプルをまわして貰えるかどうかにかかっている。ある有名な蒸留所にカスクサンプルを頼んだ。皆が知っている有名な蒸留所である。いろいろな年代の12のサンプルがハイランダーインに届いてテイスティングをしたが、それはどれも平均点で、これと言って突出している物がなかった。『しいて言えばこれやろか…』程度である。
もしサンプルの半分が『なかなかエエなぁ~』であれば二者択一になるし、極端な話、もし全てのサンプルが素晴らしければどれでもいいわけである。
最近、僕が注目しているボトラーズがある。日本でも高い評価を得ているようだ。彼らは樽を自分たちで所有せずブローカーから買っている。しかし、どのボトリングも平均点をはるかに超え、年間のリリースの数も多いときた。
出来れば一度『ネ~どっから樽仕入れてんの?教えて~や!』と聞きたい。
しかし彼らが商売の秘訣を僕にタダで教えてくれる筈もなく、正直言って僕としてもちっぽけでもプライドがある。
いつか彼らの方から『達也、自分とこ美味いのばっかりやん!ちょっと話し聞かせて…』(まず、ないとは思うのですが…)と言われるようにこれからも頑張りたいと思っています。
#皆川達也のハイランダーイン日記