今朝の通勤電車で、隣に立っていた方が読んでいた新聞の「日清食品、値上げ」の記事が目に留まりました。
日清食品は、来年1月にカップヌードルなどの即席めんを最大11%値上げするとのこと。値上げの理由は『原材料の高騰』で、特に、主な原材料である小麦の作柄が、ここ数年、世界的に悪かったため、相場が2年前の2倍ほどに上がっているのだそうです。
おそらく、他の各社も追随して値上げするのではないか、食料品の値上げ機運は高まっている…と、その新聞は述べていました。
ですが、小麦の値上がりの原因は、作柄が悪かったからだけでしょうか。
他にも、円が世界的にずっと弱含んでいるのと、中国の消費の増大により需要が供給を上回っているため、でもあると思うのです。
・・・だとすると、輸入ウィスキーの価格もそろそろやばいんじゃないでしょうか?
左の図は、過去5年の為替レートのグラフです。上が英ポンドで、下はユーロです。英ポンドとユーロはほぼ連動していますが、敢えてここでユーロも取り上げているのは、並行輸入物の主な仕入先として、英国以外に、フランス、ドイツ、イタリアなどがあるからです。
それまでもゆっくりとした上昇傾向にあるのですが、2006年初から上昇率を強めてきており、現時点では、15%強の値上がりを見せています。
為替取引に明るい方の予想では、米サブプライム問題に対する欧米諸国の安定化対策がうまく行けば、7月中旬の1ポンド=250円を大きく上回る英ポンド高はない。が、それと同時に、ここからまた2005年の水準に戻るとも考えにくい、のだそうです。
尤も、ウィスキーの仕入れ原価の全てがポンド建てであったり、ユーロ建てであったりすることはないと思いますので、値上げは5~8%ということになるのでしょうか。
ところで、現時点で流通している(リカーショップやネットショップの店頭に並んでいる)、正規輸入代理店があるオフィシャル物やボトラーズ物のボトルは、いつ頃買い付けられたものなのでしょうか? 私の想像ですが、2005年以前の物がまだまだあるのではないかと思っています。それらまでが遡って値上げされるということは無いとして(個人的な希望が多々含まれていますが)、それらがはけて、今年になってから買い付けたものがそろそろ店頭に並び出す頃には、値上げとなるかもしれません。
(為替との因果関係は知りませんが、グレンファークラスは値上げをするようです)
ボトラーズのシングル・カスクなどのように、定番ではないボトルや、買い付けから販売までの期間が短いボトルは、きっともう為替の影響を受けていると思います(売る側にしてみれば、為替リスクが少ない)。 私のように、コスト・パフォーマンスをすぐ気にする者は、この辺も考慮しないと、純粋にモルトの良し悪しを評価できないかもしれません。
一方、中国の消費の増大についてですが、私の同僚に、中国の大連にある支社に出向している者がいるのですが、その彼の話によると、中国ではスコッチ・ウィスキーはかなり流行り出しているらしいです。もっとも、飲まれているのはブレンデッドばかりのようですが。 とは言え、ブレンデッドにもシングル・モルトが入っているわけですし、シングル・モルトとして流通される量が少なくなるかもしれません。特に、中国で流行っているブレンデッドのキーモルトは。
それと、中国の話ではないですが、インドは、来年からウィスキーの関税がかなり引き下げられるようです。スピリッツに対して現在掛けられている最高550%の関税を来年には撤廃するのですが、輸入時の関税(国税)は無くしても、それ相応の分だけ州税の税率を引き上げるみたいで、結局、最高150%の課税はするようです。それにしても、インドの消費者にとってはかなり求めやすくなることでしょう。
シングル・モルトは、世界的に品薄状態になって価格も高騰するかもしれません!?
冒頭のニュースで、日清は「コストを抑える努力を続け、価格を維持してきたが、企業努力は限界。高品質の商品を提供するためにもやむを得ない」とコメントしているのですが、是非是非、ウィスキーのインポーターの方々の企業努力を切にお願いしたいものです。
私も、値上がりするという予想が外れることを祈りつつ、ボトルをがんばって買って、いっぱい飲んで、ウィスキーの売り上げに貢献したいと思います U^ェ^U