スコットランド全蒸留所制覇に向けて着実と前進している(はず?)の参段です。その前になんとしてでも仕入れ資金を得なくては話しになりません。と言う訳で今回は”ぼうずコレクション”からお譲り頂いたボトルをご紹介したいと思います。
SMWSの29・58は売り切れてしまいましたが、当店のラフロイグのラインナップは7種類となっています(PCの方はメニュー~アイラモルト~のカテゴリをご覧下さい)年数で言うと6年物~15年物まで色々とあります。しかし長熟のラフロイグがありませんでした・・・。そこで今回ご紹介するのはラフロイグ30年(3000円)です。
シングルモルトでもかなり知名度の高いラフロイグとは・・・薬品臭があってとても癖の強いアイラモルトで歯医者さん?タール?等とよく言われています。まるで病院の一室にでも紛れ込んだかのような独特の風味を持ったラフロイグはスモーキーかつピーティで、海藻のような香りがします。それもそのはず海岸のすぐ傍に蒸留所が位置しています。
1815年に操業を開始したラフロイグ蒸留所は1950~70年代にかけてベッシー・ウイリアムソンという女性が蒸留所長を務めていました。癖が強いので、どちらかというと男の酒というイメージがあるかもしれませんが、スコッチの長い歴史の中で女性が蒸留所長を務めたのは初めてのケースだったと言う事です。
ベッシーは60年代から70年代にかけて大改修の陣頭指揮をとり、”ラフロイグ中興の祖”、”ラフロイグのファーストレディ”として人々に慕われていました。今日のラフロイグの名声はベッシーの功績が大きいのです。う~んラフロイグは男女共同参画社会の先端を行っていたんだなぁ・・・すごいよなぁ・・・。
グラスゴー大学薬学部出身の才女だったベッシー・ウイリアムソンが大学を卒業した時は世は不況で適当な職場がなく、速記のできる秘書としてアルバイト生活をしていました。翌年の夏、アイラ島出身で大学の時の女友達に誘われ、初めてアイラ島に旅行をしました。そのある日、友人についていき地元の商店に立ち寄った時に、ラフロイグ蒸留所経営者イアン・ハンターの秘書が病気になり、速記のできる臨時秘書を探しているという話になりました。その友人はベッシーに応募を勧めました。そこで酒を飲まないベッシーは、ハンターの臨時秘書になりました。
イアン・ハンターは、ウイスキー造り以外に趣味はないといった真面目人間で、ベッシーはその姿勢にとても心惹かれたそうです。正秘書はまもなく仕事に復帰してきましたが、ベッシーはそのままハンターの助手としてアイラ島に残って、薬剤師から蒸留技術者の道を歩み始めました。このラフロイグの薬品のような独特の味わいは薬剤師が造っていたからなんてちょっと興味惹かれますよねぇ。そして1946年にはラフロイグの蒸留責任者に就任して、その後イアン・ハンターが亡くなると彼の遺言により蒸留所はベッシーのものになりました。こうしてラフロイグ蒸留所は1954年~1972年まで、ベッシーがウイスキー造りの指揮をとり、自ら経営したのです。でもその間ベッシーはウイスキーをごく僅かしか嗜まなかったらしいです。3ヶ月契約という軽い気持ちでモルトウイスキー造りに携わったベッシーはそのまま一生をモルトウイスキーの為に捧げ独身のまま1982年に他界しました。
ラフロイグにはこんな逸話があるのです。モルトの魅力に惹かれてそのまま一生をモルトに捧げた、そんなベッシー・ウイリアムソン。もしかしたら、このラフロイグ30年はベッシーが手掛けたラフロイグかも知れません。
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