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■リターンマッチ 



歳を経ると、すべての行動が、
リターンマッチの様相をていして来るのだな、これが・・・。
まあ、今更取り返しのつかない事は除いての話だけれど。
あの飛行機も、
リターンマッチに飛び立とうとしている。

昨年訪ねた、明日香村も、
思えばずいぶん昔のリターンマッチだったが、
だいぶこちらも知識武装されて、以前チンプンカンプンだった事が、
ようやく入門の域を脱した手応えを掴んだから、
リターンマッチが出来て、ほんとに良かった。

そして、そういう放浪の合間に、
のどばかりでなくて、ココロも潤すのが、巷のBARだ。
いつか訪ねたあの町のBARも、一度行ったきりなのに、
その土地の街並みとかよりも、妙に鮮やかに記憶に留めるのは、
居酒屋やスナックとは、趣きが異なって、
そこで酒と純粋に向き合えるからなのであろう。

・・・ひとり旅先の止り木で、モルトと向き合っていると、
どうやら常連らしい女が酔って入ってきた。
いい気持ちになっていて、
一つ飛び越えた席から話しかけてきた。

――酒の飲み方で男は、歳がわかる。うんぬん。

ならば言わせてもらいましょう。
――酒の酔い方で女は・・・、

なんて映画のセリフを云おうとして、
コトバを呑込んだのは、
やはりここは、スナックや居酒屋と違って、BARだから、
やはりここは、クールにゆかなければ・・・。

・・・あの店、今頃どうしているだろうな。

なんて、ふと思い出しながら、
こんどはどんな酒と出会えるか、
人生は60分三本勝負のリターンマッチが延々と続く。

  ■明日香村「入鹿首塚」
  逆光の中で、紅の光輪が、
  入鹿の祟りを暗示しているようで・・・。

#■JOURNY

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