数年前まで、兵庫県の芦屋市に「TOPWIN」というショット・バーがありました。
こじんまりとしたバーでしたが、バックバーはひな壇のようになっていて、シングル・モルトだけではなかったですが、ざっと500本くらいのボトルが並べられていました。
その中でも異彩を放っていたのが、4本並べられた同じラベルのキングスバリー スキャパ 16年 でした。
キングスバリーの以前の(当時は一番新しかった)シリーズで、ラベルは、赤い文字で KINGSBURY”S とアーチ状に書いてあって、その下に、青と黄のふたつの盾を持ったユニコーンのロゴと、蒸留データが書かれてありました。 シングル・カスクのカスク・ストレングスで、ラベルにはカスク番号も書かれてあったのですが、4本のボトルはそれぞれ違うカスク番号でした。
所謂、『樽違い』です。
熟成期間中、その樽が貯蔵庫の中のどのような場所に置かれていたかで熟成の度合いや香り、味に差が出てくる…ということは頭では理解していましたが、それを体感できたのは、この4本を同時にテイスティングした、そのときが初めてでした。
4本のうち2本はほとんど差がありませんでしたが、その2本とそれら以外の2本はそれぞれ違った個性を持っていて、『こんなにも違うんだなぁ』と驚いたのを覚えています。
ここでその違いを書こうと思ったのですが・・・時間が経つと記憶は薄れていくのか、驚いたこと以外、今となっては記憶を呼び戻すことができません。 その当時は(そして、つい最近まで)私はテイスティング・ノートを書いておくということも全くしていませんでした。
思い出せないと言うよりも、本当は、4本のテイスティングをしているときでさえ当時の私は、どこがどう違うのかまではハッキリさせず(させることもできず)に、「やっぱり違うんだなぁ」とただ単に驚いたり、納得してばかりいただけだったように思います。 それでは、肝心の「違い」まで覚えておけるはずはありません。
あのとき、テイスティング・ノートを書いておけばよかったと、とても残念なことをしてしまったと、今になって思います。
芦屋市の隣、西宮市にある阪急電鉄の西宮北口駅の駅前に、「TOPWIN」というピアノ・バーと、ショット・バーが今もあります。 ピアノ・バーのほうのオーナーさんが芦屋の方のお店も出されていたようで、芦屋のお店は支店ということだったようです。
スキャパがあった芦屋の「TOPWIN」のマスターは何回か変わられたのですが、初代マスターだった方は、現在は、阪急の夙川駅の駅前で「ルパン」というショットバーをされています。面白いシングル・モルトのボトルを揃えておられます。
また、最後のマスターとなった方は、阪神西宮駅の近くで「海豚」というバーをされています。こちらのお店はシングル・モルトはぼちぼちですが、とても美味しいカクテルを飲むことができます。
#飲み歩き