MENU

ダブルマチュワード-Sherry7

第四章 Fourth Order フォース・オーダー

1

タクシーを降りると雪がチラチラ降っていた。
寒いのは好きではないが、やっぱり冬は雪が降らないと感じが出ない。
「雪か・・・」

「いらっしゃいませ」
エンドスケープは賑っていた。店内にはシガーの香りが漂い僕の鼻腔をくすぐった。
「待ち合わせですか?」
「ああ、彼女とね」
オーダーを考えていた。彼女を待つまでの時間の最後の一杯になるはずだ。
すでに3杯飲んでいるし、酔った勢いでする話でもない。
「シェリーソーダをください。」
最後に気持ちを整理していた。
ソーダの立ち上る泡は心を落ち着かせた。
「今日はテタンジェ有る?」
「ご用意してますよ。」
「後でそれでカクテルお願いしたいんだけど」
「喜んで、フレンチ75ですね。」
すこし、さっきアマレットを飲んだ事を後悔していた。

「アマレットって友達以上恋人未満って意味があるんだって」
「ヘルメスってリキュールは商業旅行の神様って意味あるんだよ」
お互いに知ってる知識の言い合いだった。
バーに通いだすとそういった雑学も増えていく。
「お酒って楽しいよね。それぞれ意味があったり、色んな逸話があったりして」
「それを考えて飲むとまた違った感じになるね」
二人のバーでの会話はいつも弾んだ。
彼女の機嫌が悪い時もバーで飲んでると自然と治っていた。
バーという空間とお酒は大事なアイテムだった。
「ねぇ、あれ何て読むの?」
「パルフェタムールだよ」
「何?」
「すみれのリキュールだよ。一昔前は人気のリキュールだったみたいだよ」
「意味あるのかな?」
「さぁ?」
二人の会話を聞いてバーテンダーが教えてくれた。
「フランス語でパーフェクトラブ、完全な愛という意味です。17世紀には媚薬酒として売られていたらしいですよ。」
彼女は目をまん丸に見開いて聞いていた。
「お洒落な話ね。じゃぁ、それでカクテルお願いします。」
無邪気な彼女に僕は笑顔だった。
「ブルームーンです。一番有名ですかね」
「何が入っているの?」
「ジンとレモンと媚薬酒です。」
「ジンなんだ、まさくんも飲めるよ」
「ただ、出来ない相談という意味があります。」
彼女は驚いたようにグラスから一瞬はなれた。
「全然意味が変わるのね」
バーにいる時間は楽しいひと時だった。

#NH

この記事を書いた人