駐車料金を支払い、車に乗り込んでキーを回すと何の反応も返ってこない。
数回試してみるがライトすら点かない、ピクリともしない。
珍しく雪が降り、急に冷え込んだ長野の夜に一人呆然・・・。
遡ること数時間。
東京からの帰途、高速バスの中でメモ代わりに携帯していたボイスレコーダーで22日のライヴの内容を確認しながらメモを起こしていました。
最初こそ記述していられたのですが、数時間後の録音内容から次第に雲行きが怪しくなって行きました。
記憶が曖昧になっていったのは15時前後からだったと思う。
閉会を待たずに会場を後にしたことは覚えているのですが、次に記憶が回復するのは20時を遥かに回ってからでした。会場の外で眠っていたからです。
記憶がないことは時として幸せだと感じる、今この瞬間。
記述する手が止まる。
・・・何言ってるの?俺。
ボイスレコーダーは失われた時間を聞き手の感情に関わらず克明に再構成します。
血は下がり、自分の呼気が遠くに感じられる。
記録の中で僕は同席した友人にずっと的外れなことを語り続けていました。
それも、こともあろうにマスタークラスの最中に、です。
それは、同席した友人はもちろん、少しでも有意義な時間を過ごそうとマスタークラスに参加していた方々や、丁寧な説明を行ってくれていた講師の方、このイベントを成功させようと影で支えてくれていたスタッフの方々、そしてマスタークラスをとれなかった応募者に対しても極めて失礼な態度を意味しました。
あの日の会場では記念グラスと同時にもっと大切なものを喪失してしまいましたが、それ以上に多くを奪ってしまった気持ちでいっぱいです。
戒めを込め、来年のライヴではマスタークラスを取らないと宣言します。