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お見送り Glenlossie

 明日の(正確には今日か?)夜から、
 ばあちゃんを見送りに四国の先端へ。

 父方の祖父母は自分が生まれる大分前に亡くなっていて、
 母方の祖父は0歳の時に亡くなったそうです。
 なので、母方の祖母しか知りません。

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 ばあちゃんは、物心ついた時からばあちゃんで、
 自分がいいおっさんになった今でも、ばあちゃんなわけで。

 そんなに長い間ばあちゃん業を営んでいると、
 同年代の兄妹や従妹や友達がみんないなくなってさびしいと、
 そんなふうにここ何年か聞くから、
 長生きしろってせっつくのはやめて、
 今の事を聞くことにしてたよね。

 物心ついた時にはばあちゃんだったから、
 いなくなってもばあちゃんなわけで、
 何も変わらないんだけど、
 もう会えないから、
 お見送りをしてこよう。

 なかなか会えないから、ひ孫娘の写真や手紙を部屋に一杯取り置いてくれて。
 先月あったときにも、こないだみんなで桜の花の下で弁当を食べた話をして。

 静かでまじめで働きものだった、激昂という文字があり得ないばあちゃん。
 だから、静かに会って話をしましょう。

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 ばあちゃんはご飯の最初に、
 小さいコップにビール一杯がおいしいって感じだったけど、
 今日はごめんね、ウィスキーだよ。
 1981の16年だから、
 私に初めて娘が出来た年、
 だからばあちゃんに初めてひ孫が出来た年に瓶詰めのおさけ。
 ようやく首のすわった娘を連れて会いに行ったとき、
 長い時間、だっこして離さなかったよね。
 あー、連れて行って良かったなって思った。
 

 Glenlossie 16yo 1981 43% Hart-Brothers, sherry wood
  香りは若干のセメダイン、木材、、蜜、オレンジの皮。
  オイリーな口当たりとともに、強めのシトラス、次いで暖めた木。
  控えめに、シナモン、カカオ、黒コショウ。
  ドライすぎないレーズン、プルーン。
  少しのなめした革。
  経時的にバニラがしっかり。
  開栓直後でも瓶詰めが古いせいか、
  味全体が練れたオールド感を持っている。
  開栓から少し落ち着けば、セメダインが抜けて、
  もっと柔らかな風味が支配するのでは?と思う。

 シェリーだけれども若い熟成感と、
 オールドボトルの味わいが拮抗して非常におもしろいです。
 今日みたいな気分の日には、もう少しまろやかでも良かったけれど、
 おそらく少しの時間で柔らかくなってくれると思います。

 大阪に帰ったらすぐ、空港から直行で仕事だ。
 その日には客先で大一番の勝負も控えているし。
 
 愚痴をこぼすことなくもくもくと、
 ばあちゃんが自分のため家族のために働いていたように、
 私もまた、自分と家族のために前に進まないと。

 じゃあ、さようなら。

※味追記

#Glenlossie

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