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グレンモーレンジ 飲み比べ

冒頭からズバッと言ってしまうと、かなり飲み比べし甲斐がありますよね。
「グレンモーレンジ」
北ハイランド産、スコットランドで一番売れていると言われるシングルモルト。

お恥ずかしい話ですが、正直に言うと、ついこの間までの僕は、そんな評判に疑問を持っていました。僕のグレンモーレンジに対する印象は「端正でスッキリ」で、悪く言うと「特徴が良く分からない」、だったんです。「なんで一番売れているんだ?」って感じです。

そして一方で、端正で無個性といった個人的感想をあざ笑うかのような、様々な「~ウッド・フィニッシュ」。これにも「多すぎ~(苦笑)」と感じていました。

はい、僕が馬鹿でした。
全ての「~ウッド・フィニッシュ」を制覇したくなるくらい、全く異なる個性と、根底に流れる一貫した味わい。この飲み比べ、非常に楽しかったです。
今回は計9種類。オフィシャル7種類にソサエティが2種類です。

 飲み比べ その1

まずは、この4種類。






写真右から、「10年」の現行(オリジナル)、1つ前(TEN Years Ord)、さらに前(10 Years Ord)。そして「キンタ・ルバン」と左端が「ポート・ウッド・フィニッシュ」。10年の方は、現行の1つ前(写真右から2番目)の方が馴染みがありますね。
さっそく右から順番に試飲していきます。

グレンモーレンジ オリジナル
10年のことを、今後こう呼ぶそうです。圧倒的に薄くなりましたね。「細い」です。
「端正」というよりは「繊細」。フローラルという表現も良く使われますが、シロップのような淡く甘い香りと、麦の香りを感じます。嫌味が無く、スッと飲めてしまう感じです。
最初に感じる柑橘系のフレッシュな香りが驚きです。
こんなにも若々しいモルトでしたっけ?

グレンモーレンジ 10年
新バージョンと全然違います!
馴染みのある味のはずなのに、こちらの方が、ずっと味に厚みがあることに気付きます。
穀物の香りと柔らかな刺激が「素朴な酒」という印象。
シロップのかかっていないホットケーキ、シナモンのような刺激、クリーミー。
レモンとオレンジの中間のような柑橘系のフレッシュさも。

もともと「10年」が厚みのあるモルトだったのでしょうか?
…というよりは、やっぱり新しいオリジナルの方が、柔らかく細くなったんでしょうね。

グレンモーレンジ キンタ・ルバン
「キンタ・ルバン」の「キンタ」がポルトガル語でブドウ園、「ルバン」がゲール語でルビーを表すそうです。旧商品はポート・ウッド・フィニッシュ。
ワイン樽ということで、わずかに赤みがかった金色をしています。シェリーよりクセの無い香りで、非常にフルーティ。アプリコット、わずかに熟したリンゴに近いですね。
見た目よりも、ずっとライトな印象です。

グレンモーレンジ ポート・ウッド・フィニッシュ
旧版の方は、「キンタ・ルバン」よりも穀物香が強いですね。
そのせいか、ややハーブっぽい香りとシリアルの甘さをまず感じ、徐々にキャラメルとレーズンの香りがしてきます。そしてハッキリとスパイシーさを感じます。
「キンタ・ルバン」と比較すると、刺激があって、渋いようなエグさがあります。

2つの新旧を比較したのですが、どちらも旧版の方が圧倒的にしっかりとした味わいを感じます。これがグレンモーレンジの変化なんですね。
他のモルトでも、新しくなると昔の方が味が濃かったなんて話を良く聞きますが、モーレンジも例に漏れず…といったところでしょうか。

 飲み比べ その2

それでは次の飲み比べです。






グレンモーレンジ マディラ・ウッド・フィニッシュ
柔らかいバニラの香りと、削りたての材木のような爽やかな木香、ピリッとしたスパイシーさが最初の飲み口に心地よい刺激を与えます。フルーツケーキっぽい甘い味わい、今まで飲んだモーレンジの中で一番の硬さとトゲを感じます。
フィニッシュが消えるように短いのも特徴的ですね。最初は気付きにくいのですが、他と比べるとすぐにわかります。

グレンモーレンジ ラサンタ
旧「シェリー・ウッド・フィニッシュ」です。
全体的には爽やかなシェリー・ウッド。これまで飲んだ(他の銘柄も含めて)シェリー樽熟成の中ではトップクラスの軽さと爽やかさを持っていますね。甘いキャラメルのような香りの奥に、ハッキリと穀物香、ほんの少しイガイガ感を感じます。
最初に舌先に感じたのはゴムっぽい感じ。もちろん圧倒的に軽いのですが。

やっぱりゴムっぽさがあったか…と思っていたら、ここで面白い発見がありました。
今回の飲み比べ、僕は「マディラ」→「ラサンタ」の順で飲んだんです。
そして、チェイサーを飲みつつ少し時間を置いて、逆に「ラサンタ」→「マディラ」で飲んでみました。すると味の印象がカラッと変わったんです。

まず「ラサンタ」から飲むと、先に感じたゴムっぽさは無く、生キャラメルやフローラルさが際立ちます。そして「マディラ」に草っぽい青臭さとオイリーさを感じます。
これは面白いですね。飲む順番が変わると、どちらも全く違った印象になります。

ネクター・ドール
旧バージョンは「ソーテルヌ・ウッド・フィニッシュ」。免税店などで限定リリースされていたもので、ソーテルヌ・ワイン樽で2年の後熟をしたものです。
輝くような黄金色がクリアで鮮やかです。飲み口は非常に優しく上品で、レモンと麦の香りも感じられ、同時に非常に甘い味わいです。ただ、甘さにしつこさが無く、スッと口に入って喉を通っていくので、驚くほどスムース。なのに余韻が長く、口中にシロップのような甘さが残っています。

SMWS 125.5
これは、めちゃウマですね~!!
正直ビックリしました!!
開けてから時間が経っているとのことで、最初の頃よりはずっと華やかな香りになっているとのことでした。確かにフローラルで甘い香りが広がります。
レモン・シャーベットと言われていると説明を受け、飲んでみると…
あぁ本当にレモン・シャーベットですね(笑)。
ただレモンというには少しだけ青臭い柑橘系の感じも。ライムでしょうか?
唐突ですが、皆さんはマウンテン・デュー知ってます?
アレのシャーベットですね。僕の地元では小・中学生のころに駄菓子屋で売ってました。
非常に良く似ています。

と、ここでBarのマスターから一口だけ125.6を頂きました!
すっごいラッキーですね♪
「トフィー・トフィー・トフィー」と言われているわけですが、こちらはずっと硬くてエグい印象。
あまりの違いに吹き出してしまう勢いでした。
メープル・シロップと石鹸(?)、これがトフィーと呼ばれる所以なのでしょうか。
ゴツゴツした穀物香を感じます。

せっかくですから、やっぱりコレも逆方向で飲み比べ。
先に125.6を飲んでみると、幾分味わいが甘く感じられクリーミーさが現れます。
バターっぽいのでしょうか。そして強い木香。
一方の125.5の方は、さらにふっくらとした円やかで柔らかな甘さが際立っている気がしました。
個人的には125.5の方が好きですが、個性の強いものが好きな方なら断然125.6に面白味を感じるでしょうね。

さて、9種類を飲み比べしたわけですが、全体的にグレンモーレンジの素朴な穀物の風味、端正な味わいは共通しているような気がします。その中で新しいシリーズは、グッと軽快になっていますね。ライトというよりは「スマート」といった方がいいのかもしれません。
オーナーは超コングロマリットLVMHですし♪
ヴィトンにプッチ、フェンディ、ディオール、ダナ・キャラン、ジバンシー、ゲラン…
これらに加えてアルコールはドンペリにクリュッグ、モエ・エ・シャンドン。
そしてグレンモーレンジ。
新しいボトルのスタイリッシュな曲線も納得です。

#グレンモーレンジ #ハイランド

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