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■駅の売店でモルト雑誌を買った頃

以前、グランド・セントラルに迷い込んで、
ポカンと天井を眺めていた事がある。

NYのグランド・セントラル駅(1913)は、
ボザール様式と呼ばれるヨーロッパの古典主義建築。
規模は違うが日本では、日本橋三越がこのスタイルだ。

ニッポンの古い駅も、多かれ少なかれ、「駅」といえば、
古典様式に右へ倣えの時代があって、
駅には威厳があったが、リニューアルを契機に、
ごみごみとしたワンパターンの、商業施設へと変貌してしまった。
そういう視点からみれば、
「エコノミックアニマル」と呼ばれたゆえんも合点がゆく。
ニッポンの現代は、
この国をグランドデザインする指導者が不在であった。
なんだかんだいっても、みんな地上げ屋だった。

・・・そんな事を思いながら、
グランド・セントラルの天井に描かれた星を眺めていた。

そして、我にかえって、
駅の売店で、モルト雑誌を購入してHOTELへ戻った。

・・・そうか、NYではこういうモルトが人気あるのか。
・・・そうか、NYでもモルトソサエティが活発なのだ。

・・・モルトスコッチはラフロイグがウマイ。
・・・アンソニー・ホプキンスは名優である。
――NYのオバサンと、意見が一致した会話など思い出しながら
ホテルのBARでひとり雑誌を眺めていた。

 

#■Rail&Station

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