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■港の灯

バイヤーはガキの頃、ヨコハマに住んでいたので、
その頃流行った音楽とか耳にすると、
ふと、懐かしいヨコハマを想い出す。

「港の灯」HARBOR LIGHTS=ビリー・ヴォーン楽団だった。
これは、毎晩「ラジオ関東」で流していた。
京浜急行提供「ミュージックトレイン」とか云った。
「波路はるかに」「真珠貝の歌」「峠の幌馬車」「星を求めて」・・・。
偶に聞こえてくると、懐かしいものだ。
思えば、時代は「音楽」と共に歩んでいたのだ。

いまは、すっかり変わってしまったのだろうが、
紅葉坂辺りから、野毛の坂を下って、
JAZZ喫茶「ちぐさ」とか、背伸びしてイッパシだった。
狭い店には、大きなスピーカーと、
壁一面に、トシコ・マリアーノ(秋吉敏子)の写真だらけだった。

それから、制服を脱いで、何処かに隠して、
若葉町の「DOWN BEAT」とかもよく行った。
バークレイから帰った、ナベサダもライブに来ていたりした。
それを、10人位で聴いていたのだから、今思えば贅沢だ。
店の別珍の黒いマッチ箱を宝物のように持っていたが、
その頃は、どう考えても、ガキなのだが、
JAZZとタバコと酒は知っていた。

それで、やがて麻雀を覚えたが、じつに弱かった。
――あれー、積もっちゃった。スーアンコじゃん。
――ひえー。役満じゃん。
・・・・・・・・・・
――あれー、また積もっちゃった。スーアンコ。
――ひえー。また、役満かよ。
――バカヤロ、そんなに一晩に何回もスーアンコでるかよ。
――このヤロウ。詰め込みやがって。

ラジオで「ジェットストリーム」とか終わる頃になると、
・・・毎回、ワンパターンの会話が繰り返されて、
なんだか、スーアンコがよく出た。

しかし、むしろ、そのワンパターンが、
妙な親近感を醸しだしていたのである。

#■MUSIC

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