ことしは日本初の国産ウイスキーが誕生してから80年目にあたる年だ。
バイヤーは、その80年のうち、およそ半分の時を、
実際にウイスキーを味わって過ごせたのだ。
そしてこの十年、原点の「モルトウイスキー」への憧憬は、
情報化社会を背景に、飛躍的に進化した。
自然に寄り添い、歩調を合せる、モルトウイスキー。
一本のボトルに封印されたモルトが、
今年も、様々な「場所」から、「時」を経て、
CLUBの棚に登場する事であろう。
目の前に置かれた、一本一本のボトルが、
自分の口に合うかどうか、
スベッタコロンダ言う事は、実に愉しい。
しかし、そこで忘れてならないことは、
「食」の出自への「想い」である。
様々な「環境」と「時間」と「人の手」を経て、
いまここに在る、モルトウイスキーへの憧憬である。
トレンドの変化は確かに活性化ではある。
しかし、過度の活性化は、退廃でしかない。
・・・余市蒸留所の棚に置かれた、
竹鶴政孝とリタのラベルのシングルモルト21年ボトルを思い浮かべて、
年の初めに、バイヤーは自戒を込めて、そんな事を思うのである。
#■MALT WHISKY