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■THE WHISKY 名酒グラフィティ 

本棚の中から、一冊の文庫がポロリと落ちた。
■新潮文庫『名酒グラフィティTHE WHISKY』
-琥珀色のワールド・カタログ- バッカス・コレクターズ編 
1985年刊で判を重ねているから、25年前のカタログ本だ。
カタログ本の宿命で、すぐに絶版となったであろうが、
その頃は、辻静雄氏の「パリの料亭」とか「ワインの本」とか、
カラー文庫が人気であった。

ガットのウルグアイラウンドを背景に、日本の高度成長は加速する。
海外旅行が、身近なものとなって、
国内では八万円した「バランタイン30年」が、
香港の免税店では、たしか二万円位だったから、
三本買って帰れば、旅費が出る。というご時世であった。

そんな時代を思い出しながら、
おもわずニヤニヤ、クスクスしながら、拾い読みしていたら、
はじめは、なんとも時代遅れと思っていたものが、
これはこれで、「時代」の貴重な資料だと思い始めて、
こうして駄文を書いている。
以下一部を引用しながら、
ニッポンのシングルモルトウイスキー揺籃の頃を思い出している。

  【ロイヤル・セント・ジョージ ROYAL St GEORGE】 
  スコットランドの北の果て、スペイ川のほとりの蒸留所で生れたシャープな酒。
  伝説の騎士ロイヤル・セント・ジョージの勇敢さをたたえて、
  その誠実さと深い味わいを今日に伝える。
  五年ものスタンダードは、アイレイ・モルトが決め手の上質なスコッチ。
  八年ものは、ソフトでスムーズな味わいが特徴。
  十二年ものは、すぐれたモルトをふんだんに取り入れた完璧な仕上がり。
                                  (―133Pより引用)
 
最近では見かけないが、
「ロイヤル・セント・ジョージ」(バテッドモルト)は確かにあったな。
しかし、いまとなっては、その解説の文章は、
読めば読むほどに、訳の判らない不思議なシロモノだ。
・・・言おうとする事は判るのだけど、
こういう感じで、すべてのボトルの説明をする事は、ほんとうにご苦労さんでしたと・・・。

  【オールド・ブッシュミルズ OLD BUSHMILLS】 
  北アイルランドに現存する唯一のブランドで、
  アイリッシュ・ウイスキーの最古参。
  豊かな風味と独特のコクはストレートで。
  また、レモンと砂糖を入れたお湯割りも
  かぐわしいアイリッシュ・パンチとして楽しめる。
                       (–137Pより引用)

・・・そうか、この本を読んで、
20年前は「ブッシュミル」をレモンと砂糖を入れたお湯割りで、
飲んだかたがたもおおくいらっしゃったのか・・・。
なんだか感無量という感じではないか。

そして最後のほうには、国産の、
「特に人気の高い売行き良好品」の【地ウイスキー】なるものが紹介されている。
一升びんの中身は、ウイスキーなのだ。以下一部を抜粋してみよう。

  ■グレン・アーマー(二級・1800ml)富士醗酵工業1800円
  ■オールドハーレー・デラックス(二級・1800ml)東亜酒造1730円
  ■チェリー・ウイスキー(二級・1800ml)笹の川酒造1630円
  ■ハイランダー(二級・1800ml)ヘリオス酒造1650円
  ■ネプチューン・ウイスキー(二級・1800ml)合同酒造1730円
  ■ホワイトオーク・セレクト(二級・1800ml)江井ヶ嶋酒造1780円
  ■ダイヤモンド・ドリーム(二級・1800ml)協和発酵工業1730円
  ■45ウイスキーE・E(二級・1800ml)東洋酒造1610円
                        (―197.198Pより引用)
 
そんな訳で、モルトファンの皆さんには、
古書店等でこういう本を見つけたら、是非購入をお薦めいたします。

  

#■BOOK

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