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秩父ニューボーン Mizunara#9&10


引っ越し後、初テイスティングは「生まれたて」!

秩父蒸溜所、7本目となるオフィシャル商品。
樽No.9と10の2樽のミズナラ樽原酒をブレンドし、
カスクストレングスにて瓶詰め、発売された。

2008年2〜3月蒸溜、
2008年4月New Japanese Oak “Mizunara” Hogshead樽No.9と10へ樽詰め、
2009年2月ボトリング。
アルコール度数63.3% ボトル数644本 大麦品種:オプティック(ノンピーテッド)

秩父ニューボーンと名づけられたこの商品は
スコットランドでは通常「ニュースピリッツ」と呼ばれますが、
日本ではウイスキーに分類されスピリッツ表記ができない為、
「ニューボーン(生まれたばかりの)」というネーミングになっています。

香り
最初にニューポットらしい独特な香りを感じ、
軽く香るとモルティーな香りの中に、生醤油の発酵臭、青カビチーズ、
削り立ての鉛筆、腐葉土、若草、蜜蝋、トーストされた食パン、軽~いエステル。

近付き、しっかり香ると米酢の熟成香のある酸味の中に白檀の一筋のお線香を感じた後、
ミルキー(不二家のミルクキャンディー)の凝縮された練乳の様な甘い香りと、
レモンやグレープフルーツの酸味がかったフルーツが調和する様を感じられる。

味わい
ニューポットらしい荒々しさが残ったまま、トマトの中のゼラチン部分のエグ味(旨味)、
鉄分や緑色が濃い葉を噛んだ時のタンニンを感じた後、
お米を主体とした穀物様の旨味やコクを感じ、
喉を通る時に山葵の痛みを伴った辛みを感じる。
やがてゆっくりと、そしてハッキリと和三盆の濃い甘味が出てくる。

加水後の味わい
和三盆の甘味とトマトの中のゼラチン部分のエグ味(旨味)を強く感じた後、
強い苦みと軽いサルファーに変わり、マスタードの辛みも残る。

後味
辛口の日本酒を飲んだ後の様にビターで、
またトマトの中のゼラチン部分のエグ味と旨味を感じつつ、
パンケーキの軽やかな甘味が長く続く。
鼻から抜ける爽やかなハーブ感も楽しめる。

総評
大麦の違いだけなのか、Bourbon barrelのNo.8082の様に
ストレートに未熟過ぎる原酒ながら熟したら美味そうな味わいとは違って、
New HogsheadのNo.2224の様な濃い味わいで臭い原酒に近いけれど、
それでいて臭みが少なくて樽香が深い。

とは言え「ウイスキー」というにはまだまだ早いけれど、
ウイスキーとは違う感じでいて違わない、ストレートに
まだニューポットの甘味や発酵臭も楽しむ事ができる。

肉系の食べ物を口にした後に飲むと、カレーライスの中のローレル
(ハーブ)を感じる時の様に、爽やかなハーブを強烈に感じられる。
これがフレッシュで鼻に心地よく、気持ち良い。
ただこれはミズナラ樽の影響というよりも、他のニューボーンでも感じられる様に、
秩父のモルト原酒自身が持つハーブ感なのではないかと思う。

ジャパニーズウイスキーならではのミズナラ樽で熟成していく原酒の、
たった10ヶ月という期間のモルトを飲める機会は大変貴重でありがたい。
こんなにありがたい事は2度と無いだろうと考えると、
商品を企画販売してくれたベンチャーウイスキーさんに心から感謝したい。
モルトウイスキー好き、特に樽好きの一人としては、
こんなに楽しいスピリッツは滅多に無く、小躍りしそうな程に楽しくなる。

ベンチャーウイスキーさんには、「ウイスキーが熟成していく神秘を伝える役割を
ほぼ果たした」と役員会で決議した某社の様に怠慢にならず、
いつまでも消費者目線でいて欲しいと、切に願っています。

#秩父(ichiro’s)

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