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010. ロイヤル・ブラックラ / Royal Brackla

2012.04.17

 翌日は、バスに揺られること東へ50分ほどの位置にあるロイヤル・ブラックラを目指します。

 バスに乗り込み、蒸留所のあるパイパーヒルという村を目指します。初めはそこそこいた乗客も、景色が田舎に変わるに連れどんどん降車していき、目的のパイパーヒルに到着する前に乗客は私一人に。


(牧歌的な風景が広がります)

 目的のバスストップに着く前に、蒸留所の看板を通過。ほどなくバスは止まり、私は何も言っていないのに、運転手さんが「蒸留所ならあっちだよ」と教えてくれる。ここら辺に来る観光客の目的なんて、みな同じようなものなのだろう。


(バスの車窓からも確認できた看板)

 T字路の交差部分に看板が立っており、たて棒の伸びた先に蒸留所がありました。

 蒸留所前の通りを行くと、左手に標識が立っており「来客は必ずオフィスにお知らせください」と書かれている。というのも、この蒸留所は、この旅初めてのノービジター蒸留所。観光客向けのツアーなどは一切しておらず、完全に「関係者以外立ち入り禁止」の蒸留所なのである。
 果たしてどうなるものか。。と不安を覚えながらも、とりあえずオフィスに行ってみるか、と突撃。


(道路の先正面にあるオフィス)

 緊張の面持ちでオフィスのドアの前に立ち、その勢いのまま入って行こうとドアノブを回したまではいいのだが、そこから押しても引いてもうんともすんとも言わない。ノックをしても反応は無く、中は完全に無人のようだ。うむむ、と思っていると、ちょうど蒸留所の建物の方から一人のおっちゃんが歩いてくる。一瞬、怒られるか!?とビビるも、むしろこっちからフレンドリーに行く作戦を実行。「ハロー」と声をかけると、相手も気楽な感じで「ハロー。ハーワーユー?」みたいに話してくれる。これは行けるかも。。!と思い、すかさず「蒸留所を見たいんだけど。。」と言ってみる。
 ちなみに、この時私が口にした言葉は「Can I see your distillery ?」である。「see」でいいのか「your」でいいのかは未だに分かっちゃいないが、それでも私の言いたいことは伝わったようで、おっちゃんは「そんな言われてもいま誰もおらんで。ってかワシ蒸留所の人間ちゃうし」と。
 どうやら、出入りの業者さんだったようで、蒸留所の(オフィスの)スタッフはいま出払っているとのこと。どうしようかなーと思っていると、ちょうどそこに一台の車が入ってきて、それに気付いたおっちゃんが車を止める。
 中の女性に「こいつが蒸留所見たいらしいぜ」みたいに言ってくれたのだが、その女性は「ここはノービジターよ。私に言われても」っていう感じで交渉の余地がないようだった。何となくダメそうなことを雰囲気で察した私は「外からだけならいい?」とおっちゃんに訊いて、周りをぐるぐるし始める。


(白壁に赤字のロゴが映える)


(外から仰ぎ見たスチルハウス。どっかで見たことあるスチル型の門飾りが。。)


(どっしりとしたスチルを覗き見ることができた)

 スチルハウスの窓に嵌っていた門の飾りは、アバフェルディで目にしたものと同じもの。同系列の蒸留所ですので、こういう所を合わせているのかもしれない。


(裏手にはタンクや、そこに伸びたパイプなどがあり工場のようだった)


(巨大なタンク)

 私がこうしてうろちょろしている間も、最初に声をかけたおっちゃんは蒸留所のスタッフを探していてくれていた様子で、私がオフィスの前に戻ってきたのを見つけると「あいつに訊いてごらん」みたいに、中から出てきた現場のスタッフと思しき人を指し示してくれた。なのに、私ときたら、ノービジターの蒸留所で周りからとはいえスチルも見れたしラッキー♪くらいに考えており、これから中を見せていただけるかも、というのになぜか物怖じしてしまい、遠慮するようなことを言ってその場を後にしてしまう。いまにして思えば大変失礼なことをした。おっちゃんの厚意を無下にしてしまったなぁ。

 蒸留所を後にしバスの時間までふらふら。蒸留所のすぐ隣にはブラックラ・ファームという農場があり、なるほどドラフを有効活用しているのかな、とか思ったりした。


(ブラックラ・ファームの看板)


(牛が飼われていました)

 そろそろ時間だと思い、バス停へ。しっかり時間前に着いたにも関わらず、ここでミスをしてしまう。というのも、行きのバスはバス停から見て左から右へ移動して行くバスだったので、帰りのバスならば当然右手側からきて左手側の方へ行くのだろう、と思って待っていたのだが、実際には、なんと行きと同じ方向からバスが来たのだ。しかもバスの番号も同じ。これに混乱し「このバスは行きのバスと同じバスだよな?これに乗ったらインヴァネスとは逆方向に行っちゃうよね?」としている間に、バスは通過して行ってしまう。が、正解はまさにこのバスだったのだ。それをあわあわしている間に乗り過ごしてしまったおかげで、それからさらに1時間強もの時間を何もない村で過ごすことになってしまった。バスひとつ乗るのさえ、未だに慣れることは無い様子です。


(バス待ちの間に撮った写真)

#Royal Brackla

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