2017.05.26
グレンガイル蒸溜所の見学をさくさくっと終えた後、向かうは本日の、いや、このフェスティバルのメインイベント。「ケイデンヘッド175周年アニバーサリーテイスティング」である。
"世界最古のボトラー" ケイデンヘッドが、ここキャンベルタウンの地に創業したのは1842年のこと。この年、2017年というのは、それから175周年というアニバーサリーイヤーだったんですね。175周年。なんか中途半端な気もしますが、まぁ、4半世紀で考えれば、まぁ。
60名限定でアナウンスされたこちらのスペシャルテイスティング。
この年のフェスティバルのフルスケジュールがアナウンスされた1/31。送られてきたプログラムの内容を一つ一つ確認して、どのイベントを取るべきか判断するのですが、真っ先に目についたのがこちらのイベント。スケジュールが送られてくるまでは「まぁ、バンクとキルケランでマスタークラス一つずつでも取ればいいかなー」くらいに考えていたのですが、ケイデンヘッドというビッグブランドのアニバーサリーとあっては、取らないわけにはいきません。価格も、キルケランやスプリングバンクと同じく25£ということだったので、まぁ気軽に取りやすい価格帯ですよね。
そんなこんなで当日。
見学も終えて、ぼちぼち時間だということで、グレンガイルの第10熟成庫へと向かうと、そこにはすでに入場を待つ人の列が!私もすごすごとその列に並び、オープンの時を待ちます。
ほどなくドアが開き、確か1テーブル6人がけくらいの長テーブルの席に着き、各自並べられているテイスティングのアイテムを確認します。それがこちら!
(どどーん)
さぁ。はやる気持ちを抑えて、冷静に今回の試飲アイテムを、左手から順に見ていきましょう。
・The Hielanman 1971 45y 38.8%
「HIelanman」とは、ゲール語で「HIghlandman」のこと。45年という超長期熟成のシングルモルトながら、40%を下回ってしまったため、スコッチウイスキーとしてはリリースできなくなってしまったものを「Spirit Drink」という名称でリリースすることに。わずか75本というボトリング本数のこちらのボトル。後のマーク・ワット氏の解説では、その蒸溜所名こそ明言されなかったものの、話している内容から、グレンファークラスだということは推測できた。たとえ40%を下回っていたとしても、素晴らしいボトルであることは言うまでもない。
・Littlemill 1991 26y 52.6%
95年閉鎖のリトルミルからは、91ビンテージのバレル熟成が。紙っぽさや青草、ミントといったフレーバーはあったが、軽い砂糖水のような糖分と、クリーンなフルーティさがしっかりとある、素晴らしいボトルであることは言うまでもない。
・Rosebank 1991 25y 50.5%
93年閉鎖のローズバンクからは、やはりバレル熟成の25年が。フレッシュで華やかなリンゴとハニー。レモンやオレンジ、パイナップルといった柑橘が後から追いかけてくる。素晴らしいボトルであることは言うまでもない。
・Banff 1976 40y 51.4%
さぁギアが上がっていく感じがしますね。 華の83年閉鎖組からはバンフの長熟、40年ものが
。非常にクリーミーで、フルーツもたくさん。フルーツポンチのシロップを飲んでいるかのよう。奥はややスパイシーで複雑に伸びていく。素晴らしいボトルであることは言うまでもない。
・Convalmore 1977 40y 56.8%
85年閉鎖のコンバルモア。厚みのある樽のフレーバー。麦の旨味とが凝縮している。うまい。素晴らしい。
・Caperdonich 1977 39y 50.4%
03年閉鎖のキャパドニック。濃いシェリー。濃い。うまい。素晴らしい。
・Heaven Hill 1996 20y 50.8%
まさかのバーボン。やばい。
・Ardbeg 1993 23y 52.4%
かゆ。うま。
と、言語能力すら奪っていくボトルたち。ぽんぽんぽーんと繰り出される閉鎖長熟ボトルたちに、もうすっかり参ってしまいます。
(本日の主役たち。かっこいい)
(そして、やはり本日の主役。ケイデンヘッドのゼネラルマネージャー、マーク・ワット氏。眼光が鋭い)
氏の、各ボトルに対する熱い思いを聞きながらのテイスティング。同テーブルについた方々とやいのやいの言いながら、ケイデンヘッドの、スコッチシングルモルトの歴史と言えるようなボトルを味わいます。
そして、素晴らしいテイスティングの最後には、マークから「今日この場所にお集まりのみなさまにだけ、特別なボトルの購入権をご用意しました!」とやはり素敵なアナウンスが。
「スペシャルなカスクはこちらに!いま楽しんでいただいたアードベッグ23年の入っているカスクです!」と。大いに盛り上がる参加者ですが、でも93ビンテージ、20代に入っているアードベッグなんてお高いんでしょ?と疑い顔の参加者たちに対して「ご安心ください!」と言ったか言わずか「本日はこちらのボトルを175£で!175£にてお買い求めいただけます!!」と。さらに大きな歓声が会場を包みます。当時、1£=150円換算だったとしても2万円台。当時オフィシャルからリリースされたトゥエンティサムシングが、複数樽のヴァッティングでさらに加水タイプでありながら430£とかでリリースされたことを考えると、シングルカスクのカスクストレングスでこの価格は、まさに破格。大丈夫か、マーク!無理すんな!みたいなことを言う人は皆無で、みんな、やんややんやと囃し立てます。
そんなこんなで無事セミナーも終了。「はーい!ボトル買う人はこっちに並んでねー」との声に従って私もいそいそとボトル購入列へ並びます。
(マーク自ら一本一本をボトリングします。こぼれるのが勿体無い!!)
(後半は中身を吸い上げながらのボトリング。細かいことのようだが、マーク、口に含んではいないよね。。?)
こちらでボトルを受けとって、支払いと同時にラベルをもらって、その脇でキャップにシーリングをしてもらって、無事完成!セミナー内容からなにから、なんともスペシャルな体験でした!いやぁ、楽しかった!