ハイランダー・インというバーが、スコットランド・スペイサイドのクライゲラヒにある。同名のホテル内にあり、その品揃えが素晴らしく、ウイスキーファン憧れの場所だ。以前はパブだったが、クライゲラヒ・ホテルで総支配人を務めたダンカン・エルフィックさんとバー・マネージャーの皆川達也さんが2005年に買い取り、現在のスタイルに変えた。
同じ時期、中野坂上駅からまもない場所に鈴木俊之さんが「クロムデイル」の名でバーをオープン。翌年、スコットランドへ訪れた鈴木さんは、ハイランダー・インで先の2人と出会い、意気投合する。
「店名を『ハイランダー・イン・トウキョウ』にしませんか」
仕事で毎年来日していたダンカンさんと皆川さんから、鈴木さんは業務提携を提案された。自分が付けた店名にも、当然思い入れがある。その名を変えたのは、1年間悩んだ末だった。
2015年、すっかりハイランダー・インの姉妹店として知られた店は10周年を迎えた。記念ボトルに選んだのは、アルタベーン。本店がスペイサイドにあるため、そのエリアのウイスキーを選びたかった。シーバスリーガルの原酒だが、ディスティラリー・ボトルがなくそれほど知られていない蒸留所だ。しかし、このボトルのフレッシュで元気一杯な味わいが気に入り、鈴木さんはボトリングすることにした。
スコットランド、イングランド、アイルランドの民謡が流れ、カウンターに並ぶタップから流れるビールも現地のものしか扱わない。ウイスキー、ビール、パブフードとスコットランドに魅せられた鈴木さんの思いが詰まった店内。その10周年記念に選ばれたアルタベーンは、格別な味わいに違いない。
鈴木俊之氏
Highlander inn Tokyo
東京都中野区中央2-1-6 コーポ武蔵屋B1F
03-3366-2588
17:30~02:00(L.I.00:00)
不定休
絵:佐藤英行 文:いしかわあさこ
#思い出のボトル