なんだか珍しいグレンマレイを調布でいただきました。オフィシャルのようです。1963年・・・ずいぶん古いですね。日本では東京オリンピック、東海道新幹線開業の前年です。高度成長真っ只中といった感じでしょうか。しかし、これが超長熟物かといえばそうではなく、瓶詰めは1988年、つまり25年ものです。いわゆるオールドボトルですね。
マレイといえば白ワイン樽フィニッシュが有名ですね。シャルドネ樽とかシュナンブラン樽とかなんかで熟成させたのをよく見かけます。ウィスキーを飲み始めて間もない頃に「シャルドネの樽だって。す、すげー」(今となっては何がすごいのかわかりません。)なんて言いながら買って飲んでみたらたいして美味くなかったなんてことがありました。
あとはグレンマレイ蒸留所がグレンモーレンジの所有だった頃にセレンディピティなるブレンデッドモルトを発売したこともありました。同じくグレンモーレンジ所有のアードベッグをモーレンジ社がボトリングしようとして樽をマリッジする際に誤ってグレンマレイの樽が混入してしまい、捨てるのもなんだから試しに飲んでみたら美味かったので商品化したみたいな奴です。あれも相当胡散臭い代物だったのが思い出されます。本当に偶然だったのかよという意味でね。
さて、本題。そんなマレイですから、いくら長熟とはいえ飲む前は味に関していささかの疑問を持っていました。しかし飲んでみたらこれが美味い!オールドボトル特有の若干のヒネ香はありましたが、ボディはしっかり。シェリーも感じるし、バーボンも感じる。なんだか複雑な味です。ボトルナンバーは616とありますので、量も相当多い。もしかしたらバーボンとシェリーの混和かもしれません。舌ざわりもシルクのよう。フィニッシュなんかも現在売っているマレイのボケーっとした野暮ったさが全くありません。麦芽の品種が違うんでしょうね。
あと不思議なのがいわゆる「特級」表示がないこと。酒税法の大改正が1989年ですから、88年瓶詰めには特級シールが貼ってあってもおかしくないんですよね。なんて思いながら裏面を見てみると衝撃的な文言が。
reserved exclusively for ANA(ALL NIPPON AIRWAYS)
な、なんとANA向けの専用ボトリングじゃないですか!な、なんすか?これ?たしか昔は全日空商事もモルトを輸入していたことがありましたが、これもそうなのでしょうか?でもANAが何のために?もしかして、国際線の機内販売とか免税店で売っていたものでしょうか?免税店も国際線内での販売も酒税が免税になりますから、いちいち「特級」なんて表示をつける必要もないし。僕が特級表示を見落としていたとしたら元も子もないですが。
まぁ、とにかく珍しく、そして抜群に美味いものをいただきました。オールドボトル、自分では買う気になれませんがこうやってバーで飲めると幸せな気分になります。
#whisky and whiskey