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Glenmorangieセミナー

 風邪をひいて体調を崩しているGIANです。

 ビル・ラムズデン博士のGlenmorangieセミナーへ行ってきました。今回のはスコッチ文化研究所会員限定のセミナーで、先着70名だけでした。因みに、25日には、料飲店対象のセミナーがあるようですね。

 午後7時30分、会社で風邪をうつされたらしく、喉の痛みと鼻水の症状を気にしながら会場へ到着しました。ちょうどラムズデン博士が来たところで土屋さんと談笑していました。受付を済ませて会場に入りました。スクリーンの左側には、Astar、SignetそしてOriginalがディスプレイされていました。席は割とゆったりとしていて、70名限定というのはこういうことかとグレードの高い試飲会が予見されました。

 さて、時間となり土屋さんの挨拶で始まって、普通ならちょっと退屈な商品の説明があってやっとウィスキーにありつけるという段取りなんですが、今回のセミナーは一味違いました。確かに最初ラムズデン博士の話はあったのですが、それは今回の試飲セミナーは少し趣向が違いますという話で、すぐにヴーヴクリコの宮崎氏から日本語で説明があり、すぐに試飲が始まりました。

 グラスに入ったSignetが配られたとたん、会場が暗転し、肉声ではなく再生されたアナウンスが始まりました。そのアナウンスに合わせて、グラスの中の液体を眺め、蓋を取ってアロマを楽しみ、口に含んでフレーバーを感じ取りました。アナウンスからはゆったりと、時には情熱的に、アロマやフレーバーの印象が伝えられます。暗い会場の中で、一切の雑念は取り払われ、目を閉じてアロマとフレーバーだけを感じ取ります。嗅覚と味覚、そして口の中や舌の触感だけが研ぎ澄まされ、Signetのすばらしさが記憶となって残ります。今までにない趣向を凝らしたテイスティングでした。その中で、Signetのアロマからはコーヒーの芳ばしさ、ナッツ、オレンジを始めとする非常に複雑なものが感じられました。暗闇の中で鼻孔をくすぐるのはいくつもの香りの記憶でした。フレーバーにもコーヒーの印象は強く、ビターチョコレート、トフィー、バタークリームなどの味わいが膨らみ、その余韻は長く残ります。加水しても、コーヒーやナッツの芳ばしさは消えず、わずかにシトラスフルーツの香りが立ってきます。フレーバーもモカコーヒーやチョコレートといった味わいに少しの苦味とエステリーな印象が加わります。空になったグラスからはいつまでもコーヒーチョコの芳ばしい香りがしていました。

 試飲の後は、Signet誕生に纏わる秘話、Signetの味わいの秘密が語られました。CADBOLL種の大麦、強くローストされたチョコレートモルト、新しいアメリカンオーク、オロロソシェリーのヨーロピアンオーク、そして、34-36年もののレアモルト、これらが秘密の片鱗だそうです。

 次に試飲したのはOriginal、10年ものです。このモルトは最近私も見直しているものの一つですが、土屋さん曰く、「ラインナップが新しくなり、10年がOriginalとなって、ビルの求めるクオリティがよりはっきりしてきたようだ。」とのことです。Astarで完成に近づいたデザイナーカスクがOriginalのキーモルトとなっています。

 そして最後がAstar、ゲール語でJourneyを意味します。デザイナーズカスク100%をノンチルで57.1%、いわゆる100英国プルーフでボトリングしたものです。デザイナーズカスクについては、いろんなところで語られているので今更ですが、ミズーリ州オザック山脈の北斜面に育つ1インチに8-10の年輪を持つホワイトオークを2年間天日乾燥し、ヘビーローストとライトチャーした樽に仕上げ、ジャックダニエルのニューポットを4年間仕込んだ後、グレンモーレンジのニューポットに使うというものです。デザイナーカスクには「Therefor if you improve the quality of the wood you improve the flavor of the whisky」という意味が込められています。

 今回試飲したのは、この3アイテム、どれもすばらしいものでした。Signetは今回限りではなく、年に1回ぐらいのペースでリリースするそうですが、今回と同じ味わいのものが来年できるかどうかが心配で今から夜も眠れないとラムズデン博士は言っていました。来年のセカンドリリースも楽しみです。

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