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凱旋門

カルヴァドスを有名にした作品と言われている『凱旋門』。
今、本とDVDを並行して鑑賞中ですが・・・・

本では上下巻ある所を2時間ちょっとにまとめるわけですから、当然ながら映画は端折りまくり。

カルヴァドスは作品の味付けとしてポイント的に出てきます。字幕では「田舎のブランデーだ」と訳されていますが、ラヴィック(シャルル・ボワイエ:左)はしっかりと『ノルマンディーの』と言っています。字数制限でしょうか?

映画にはないシーンですが、古い酒蔵から埃まみれのカルヴァドスをウエイターに持ってこさせて、二人で味わう時の台詞がとても素敵です。
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「このカルヴァドスをいただいたら、他のは決していただけないことよ」

「バカな、他のだって飲むさ」

「でも、そうしたら、他のがおいしくなくなるでしょう」

「まさに反対だね。他のものまで、実際より、もっとおいしくなるんだ」

「馬鹿なことおっしゃい」

「僕達は馬鹿げたことで生きてるんだよ。じゃあ、恋はどうなるんだい?」

「それが恋と何の関係があるの?」

「大ありだよ。でなかったら、僕達は一度恋したっきりで、あとは全部はねつけてしまうことになる。
ところが、自分が見棄てた人間、または自分を見棄てた人間に対する憧憬の残りが、新しく現れる人間の頭の後光になるんだ。
まえに誰かを失ったことがあるという、その経験自体が、新しい人間に一種のロマンティックな光線をそえるんだ。後光を持った古い幻影だ」

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長熟のカルヴァドス、古い幻影。いつでも思い出せる甘い香り、ふくよかな味わい。
作者レマルクの、カルヴァドスに対する思い入れが伝わってきます。

#お酒?な雑談

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