ご多分に漏れず、ラフロイグにはまっていたことがあった私なのですが、歳をとってきた所為か、10年のあの強烈さは少々持て余し気味になってきました。普段飲み用のボトル達からもラフロイグは外されて、華やかな香りのハイランドが幅を利かせてます。
そんな私を、一気にラフロイグに連れ戻したのがクオーターカスク(QUARTER CASK)でした。
正規品の実勢価格も安定してきたようですし(コスト/パフォーマンス抜群!)、まだ3本目ですが、普段飲み用のボトルのレギュラーに返り咲きです。
こってりしたスモーキーさやヨード香やクレオソートはそのままに、力強さもほどよく保ちながらも、とてもまろやかな香りと口当たり。アルコール度数が48%とちょっと高めなのも、うっかり忘れてしまいそうになるくらいです。
…これが、200年ほど前の頃のラフロイグの味なのでしょうか。
そんなクオーターカスクに合うシガーはどれかなぁとあれこれ試してみたのですが、『この気持ち良さはイイな』、と感じた組み合わせがあります。
葉巻好きで有名な英国の政治家 ウィンストン・チャーチル(Sir Winston Leonard Spencer-Churchill)に敬意を表し、ロメオ・イ・フリエタ(Romeo Y Julieta)というブランドが、チャーチル(Churchills)という名の葉巻を作っています。長さは178mmと葉巻の中でも最も長い部類で、そのサイズのこともチャーチルと呼びます。
このチャーチルは、とても楽しめる素晴らしい葉巻なのですが、その長さゆえに吸い尽くすのに2時間ほどかかるのが難点で、どうしても私は火を点ける機会を選んでしまいがち…と、思ってたところへ、昨年、チャーチルが124mmになったショート・チャーチル(Short Churchills)が発売されました。
モルト:
ラフロイグ クオーターカスク
LAPHROAIG QUARTER CASK
【色】 緑がかった薄いゴールド
【香り】 スモーキー、ヨード香、正露丸。磯に出る小路。ただし、香りの全てがまろやか(これがベルベットの上品さ?)。かすかに、外皮を剥いているときのグレープフルーツ。
【味】 麦の甘さ。ココナッツ・ミルク。滑らか。
【ボティ】 ミディアム~フル。クリーミー。
【フィニッシュ】 穏やかに長く続く。鼻に抜けるオーク樽の香り。フェノール。暖かい。
シガー:
ロメオ・イ・フリエタ ショート・チャーチル
(Romeo y Julieta Short Churchill)
こくのある木の香り、バニラ、ナッツ、なめし皮。口当たりは軽い。中盤では、ボージョレー・ヌーボのような赤ワインの後味を思い出させる。最後は、ピリピリするスパイス。
マリアージュ:
樹液の甘い香りのような、魅惑的なとても不思議な甘さ。 甘い味なのか、甘い香りなのかはあいまいだが、とても気持ちがよい。
おそらく、クオーターカスクの良さも、チャーチルの良さも知っている方は、「どちらも美味しいんだから、美味しいのは当たり前」と思われることでしょう。私もそれは否定しません。
マリアージュのひとつのパターンに、『相手の特長を伸ばす』という、補完というよりも伸展とでも呼べばいいのでしょうか、そういう組み合わせ方があると思います。良い点をさらに良くする組み合わせです。
ただ、お互いがお互いの良い点を伸ばせられたらいいのですが、そうそううまい組み合わせがあるわけでもなく、どちらか片方がもう一方を伸ばすだけというパターンが多いと考えるのは私だけでしょうか(人間のカップルも?)。
ラフロイグの魅力のひとつに、独特の甘さを挙げることができると思いますが、ショート・チャーチルはクオーターカスクの甘さをぐんと引き立たせるように感じます。組み合わせることで感じられる甘さは、クオーターカスクが持っているものに根ざしているのは間違いないのですが、クオーターカスクだけでは得られない幸せな甘さです。
#モルト&シガー