MENU

アラン トカイ カスク

先日、馴染みの蕎麦屋さんでご主人と話しをしていたときに聞いたのですが、そのお店では、そばつゆの「かえし」を作るときには数種類の醤油を混ぜて使うとのこと。結構どこの店でもそうしているらしいのですが、私は初めて知りました。醤油にも、キレがあるものやコクがあるものがあるそうで、違うタイプの醤油を混ぜて使うことによって、味に深みや幅が出てくるそうです。

和菓子屋さんでも、砂糖なんかは、素朴な味のものと上品な味のものを混ぜて使っているお店があるそうです。

似たような話に、袋入りのインスタントラーメンを2種類混ぜて作るとより美味しいラーメンができる、というのがあります。 有名(?)な組み合わせは、ハウス食品の『好きやねん』とエースコックの『ワンタンメン』です。 インスタントラーメン愛好家曰く、商品の価格的な制約があるために切り捨ててしまっている味をお互いに補い合う、らしいです。 興味のあるかたは一度お試しいただければと思うのですが、出来上がりの量はもちろん2食分になってしまいますので御注意を。

さて、前置きが長くなりましたが、今日は、最近買ったアランのトカイワイン・カスクについて書いてみようと思います。これは、8年間バーボン樽で熟成させた後、トカイワインを3年間熟成させた樽で7ヶ月間”フィニッシュ”させたアランです。

トカイ(Tokaji)ワインは、ハンガリー北東部のトカイ地方で作られる貴腐ワインで、白ワイン用品種のブドウから作られますが、琥珀色をしています。蜂蜜のような香りがして、気品ある濃厚な甘味が特徴です。

(察しのいいみなさんなら、もうこの記事の結末のまとめはお分かりだと思いますが…そんな感じです、はい。)



アラン トカイ カスク 
Arran Tokaji Aszú wine cask (55%)

【色】 ほんの少し緑を帯びた黄褐色。
【香り】 グリーンゲージ(セイヨウスモモ)や梅を思わせるような甘酸っぱい香りのあとに、オレンジの香り、麦芽の甘い香り。
【味】 缶詰の黄桃。上品ですっきりした心地よい甘味。
【ボティ】 ミディアム。活き活きとした酸味のおかげで度数の高さはあまり感じない。
【フィニッシュ】 完熟した柑橘類。貴腐香? 舌を少しピリリとさせて温める感じのジンジャー。


全体的にトカイワインの特徴が前面に出てきています。アランも個性的なのに、これだけ貴腐ワインの特徴が出てくるということは、フィニッシュで使ったトカイワインの空き樽は、ゆすると「チャポン」と音がしたのではないかと邪推してしまうほどです。

けれど、作り方はさておくとして、その味わいは私との相性はいいみたいです。最近、アランからはシェリー カスクやイタリアワインのキャンティ カスクがリリースされましたが、味わいの厚みや面白さではこれが一番のように思います。
特に、アランに由来するモルトの素朴な甘さとトカイに由来する上品で濃厚な甘さが見事に調和した甘さの相乗効果と、フレッシュな酸味は、疲れたときの栄養ドリンク系の趣きさえあります。

アランとトカイ。 それは見事なハーモニー…は、少し言い過ぎですが、魅力的なハーモニーであることは間違いありません。

#モルト

この記事を書いた人