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■朝のニッカ余市蒸留所 

朝の余市フルーツ街道をゆけば、
澄んだ◎深い空の下、○夢のような旅は、
▲さくらんぼを味わい、空には△二羽の鷲が弧を描き、
それはいつか観た△スクリーンの中の光景なのであった。
・・・こうしていつしか、旅の風景は、
ごくごくありふれた
今週の宝塚記念競走の予想となってしまった。

――おはようございます。
蒸留所入口の受付で登録すると、
ガイドツアーの女性が親切に案内してくれる。
ガイドさんの説明を聞きながら、
いま一度初心に帰って訪ねるニッカ余市ディステラリーは、

例えば、手に取った泥炭(ピート)の軽さを実感したり・・・、
例えば、1934年完成蒸留所乾燥棟の屋根の高さに
    スコットランドの蒸留所の低い屋根の高さを思い出したり・・・、
例えば、蒸留所全体に漂うウイスキーの香りを実感したり・・・、
例えば、ウイスキー博物館に展示の、
    1940年念願の第一号ウイスキーの中身の減り具合を確認したり・・・、

自分にしてみれば、それは定点観測に似ているのだ。

楽しみにしていた、リタハウスでの「スコーン」のティータイムは、
建物の老朽化に伴い、残念ながら昨年秋以降休止していた。

そういえば、蒸留所全体に漂う、甘いウイスキーの香りが薄れている。
理由はすぐに憶測できたが、ここでは書かない。

――こうして蒸留所を一般の見物客に開放する事は、
なかなか、たいへんな事でもあると、一方で実感するのであった。

そういえば朝の蒸留所見学は初めてであった。

蒸留所はポットスチルに火が入っていると、全体に活気がでる。
ユニフォーム姿の若者がポットスチルを覗いて点検している。
聞けば、この春入所した社員たちだという。
先輩の指導でウイスキー造りの工程を学んでいるのだろう。

モルトウイスキーも、人間と同じように、長い時間をかけて熟成してゆく。
だいたい、ヒトが造ろうとしてすぐ出来る物には、
自ずから作為の限界が見える。

モルトウイスキーは手間隙かけて、「偶然にも出来てしまった」
という奥行きがあるから堪らないのである。
だからシングルモルトは素晴しいのだ。

ニッカ余市蒸留所。
ここは何時来ても、人間味あるいいところだ。

#■MALT WHISKY

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