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■「梅干し」のはなし  



・・・奈良時代、遣唐使によって九州にもたらされたといわれる「梅」。
ほのかな香りとともに、「春」を告げる花として、
バイヤーも事のほか「梅」に寄せる思いは強いものがあります。
いにしえより、「松竹梅」はニッポン人の美意識の象徴でもあります。

ところがギッチョん。
北海道は本州と植生が違うので、
本州のような松林も、竹林も、見かけません。
――北限の松は「黒松内」。十勝地方では「松」と言えば「落葉松」。
本州のような裏山の竹藪も見かけません。
ただ、「梅」だけは、「豊後梅」が庭にも花を咲かせます。

それで、北海道を外地。本州を内地。と呼ぶかどうかは知りませんが、
やはり北海道は、特に十勝の風景は、ニッポンの風土というよりも、
むしろヨーロッパの風景に似ています。

本州では、いま「お花見」で春を満喫しているけれど、
十勝では写真のように、庭の梅ノ木は、ようやく蕾が目立つ頃なのです。
それでも、やがて花が咲き、立派な梅の実がなるのです。

そうして丹精込めて、我が家の「梅干し」になります。
漬け込んでから、三年以上かけてようやく、立派な「梅干し」になるのです。
ですから家では、
「BUNGO CASK2003」 「BUNGO CASK2004」とか
シングルモルトのように、縁の下に貯蔵されています。

「梅干し」など、人にあげて、
邪魔者のように見向きもしませんでしたが、
肩こりが激しい或る時、
「梅干し」に含まれるクエン酸は、
疲労物質である乳酸の分解を助ける働きがあり、
「肩こり」などを緩和してくれる。なんて聞いてから、
急に重宝がるようになりました。
そして味わってみると、ほんとうに、すごく美味しいのでした。

この頃では、売られている「梅干し」が、
とても高級品にはなりましたが、
どれも甘くて、ワンパターンのものばかりで、
能書きがおおいほどに、熟成する時間を省いて効率を求める、
口実のように見えてしまいます。

#■FOOD

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