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SMWS 119.12

SMWS 119.12
ソサエティの2010年スプリング・ボトリングス。
Mizunara 54.0%
1992年11月 2009年12月 16年

SMWSコメント
最初から神社仏閣、WAXがけしたピカピカの床板。圧倒的な複雑さと長い甘さ。
完熟フルーツが次々と現れる。
◆うま味があり、頬を吸い込む◆
最初のアロマは、研磨された木材 - 日本からの訪問者は、
磨かれたばかりのダンスフロアーを思い浮かべる。
テイスターは、チェロを思い浮かべた - 一緒に軽やかに動いている。
やがて香りはさらに深まり、ラムレーズン、糖蜜のトフィー、
こんがり焼いたアップルクランベルへ変わる。
加水前の味は、ドライ。リコリスと焦がしたオレンジピールとプルーンの味がする。
テイスターは「トフィーアップルを食べ終えて、棒をかじっているところ」という。
加水後の香りは、とても良い香り。シングルモルトというよりも、
ラムやバーボン、年代物のグレーンウイスキーのようだ。
加水後の味は、実質的で中身が濃く、「頬を吸い込むほど」
異国のフルーツと桃のフレーバーが伴う。
日本最初の京都の蒸溜所から。

香り
開封直後から強烈な伽羅香が放たれている!
山崎特有の重機を思わすエステルに、鉛筆の削りカスのウッディな香り。
直火蒸溜がもたらす様々なベリーのフルーツ感に、ラムレーズンのこってりさが少し。
奥には紅茶やリンゴの芯のフルーティーで渋いタンニン。
いわゆる濃い目で真っ直ぐストレートの山崎。
そしてそれらの特徴的でかつ濃厚な香りを、荘厳な伽羅香が包み込んでいる。

味わい
伽羅香って、こんなに味にも染みついていたっけ?と思う程、口の中にお線香が煙る。
お線香に燻されたミルキー(ソフトミルクキャンディー)。甘さや伽羅香の一方で、
オレンジピールの苦味や酸味と、何よりバーボンを思わせるブルーベリーガムの
ゴム感とフルーツや、濃いタンニンの渋味が強烈。

加水後
色は白く濁る。

香りは山崎の硬い水で仕込まれたウッディなモルト原酒の輝きが開き、
ナッティーで伽羅香を帯びた瑞々しい野菜(蕪、リンゴ、セロリ)の爽やかな甘さと、
山椒のスパイシーな香りが樽香に入り交じり、まろやかな調和を奏でる。

味わいは少し辛味が出て、植物性の油を思わせる重い舌触りと、
タンニンの渋味を強く感じる。すぐに感じられる甘味が無いのが残念。

後味
伽羅香がいつまでも長く続くのだが、伽羅香だけでなく、
リンゴの芯の周りのタンニンの渋味を含んだフルーティーな甘味を伴って長い余韻となる。

総評
ミズナラの新樽を激しくチャーして仕込み、早期濃厚に熟成させたのか?と
勝手に想像してしまう程、伽羅香炸裂の山崎。
20年越を待たずも上手く熟成させる技術は、新世代・山崎のミズナラ樽原酒の幕開け。

ただし伽羅香を除いた熟成具合が濃厚過ぎるので、
もう少し若くニューポットの発酵臭が残っている頃の原酒も飲んでみたい。

長熟ミズナラ樽原酒の奇跡の香りと味わいを、懐かしく恋しく思う一方で、
新しいスタイルのミズナラ原酒を快く迎えたい。

#山崎

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