少し涼しくなった夜。
一人客のバーにて静かで穏やかな、
それでいて優雅な時間と空間を独り占め。
マスターと会話を交わすとき以外には、
街の喧騒もほぼ聞こえず、
わずかにエアコンの音が列車がレールの継ぎ目をひろうように
その一定のリズムがかえって時間の進みを遅く感じさせる。
時折、マスターがグラスを磨いたりする音、
あるいは自分がグラスを上げ下ろしする音、
そのわずかな物音が、一層それまでの静けさを強調する。
街中の雑居ビルの片隅にいながら、
緩やかに流れる時間と、心を解き放つ空間の広がりを
しみじみと噛みしめる。
和の趣を感じさせるこのウィスキーを飲みながら。
Mosstowie 17yo 1980s 40% Sestante
和紙、落雁、ビワに柿。
麦と蜜と柔らかく枯れた薄甘い香り。
味も穏やかに和の果実。
湿ったシリアル。
口中では砂糖水を含ませた和紙の甘味が、
飲み終わりと共に黒糖のコクを帯びてきて、
それまでのしみじみさを強調して終わる。
香りに比して味が弱いと見るか、
この素朴なしみじみさを味わうべきと見るかは微妙な所。
イタリア周りのスコッチであるにも関わらず、
古民家や寺社を訪れたような、そんな日本を感じる不思議さ。
一歩間違えば、濡れ段ボールや湿った犬に行ってしまうのを、
その直前に押しとどめて落ち着いたオールドボトルの良さを伝えています。
欲を言えば同17年の非加水と飲み比べたいところですが・・・。
静かな夜が燃え立つ夜に一変してしまうのかな?
では、おやすみなさい。
#Mosstowie