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053. グレンファークラス / Glenfarclas

2012.05.08

 クリゲラヒーを離れ、バスで向かうはメアリーパークという場所。ウイスキーラバーの方にとっては、この「メアリーパーク」という名前で次の目的地がどこなのか分かる方も多いかと存じます。

 マッカランのツアーを終えた後、まずはクリゲラヒーまで戻り、時間があったのでさらにそこからアベラワーまでは歩いて、そこからバスに乗ります。
 揺られること10分ほど。左手側に看板が見えてまいります。


(旗が目印)

 「メアリーパークまで」と言ってバスに乗り込みましたが、メアリーパークまで行くと蒸留所は通り過ぎてしまいます。幸い、スコットランドでは、バス停以外の所でも「ここで降ろして」と運転手さんに言えばその場で降ろしてもらえます。旗が見えたら急いで運転手さんに伝えて降ろしてもらいましょう。タイミングを逸してメアリーパークのバス停まで行くことになってしまったら、私のように30分近く道を遡らなくてはならなくなります。。

 目印の旗を曲がってしばらく歩くと蒸留所に到着です。


(スチルのオブジェがお出迎えです)


(キルン風の玄関が可愛いビジターセンター)


(ビジターセンター正面から)

 ツアーの受付を済ませ、ショップも兼ねているビジターセンター内をうろつきます。


(こちらにもスチルのオブジェが。やたら細っこい)


(板張りの屋根にはシャンデリアが飾ってあったり、床にはタータンチェックの絨毯が敷かれていたりと、かなり可愛い感じのビジターセンター)


(ご存知ファミリーカスクシリーズも勢揃い。52年から94年までのビンテージでボトリングしたシリーズです)

 かなり感じのいいビジターセンターでツアーの開始を待っていると、これまた感じのいいおばちゃんがやってきて、ツアー開始です。久しぶりに中の撮影もOKな蒸留所だったのでばしゃばしゃ撮影。せっかくなので写真を多めにお伝えします。


(敷地内にある水車。なにか謂れのある水車らしく、この前に立ち止まってわざわざ説明してくれたのだが、英語が理解できず何を言ってくれたのかはさっぱり。。)


(まずは製麦業者からやってきたモルトを貯めるモルトビン)


(こちらのミルマシンでモルトを粉にします。よく見るPORTEUS社製のじゃないな。。)


(上からどんどんモルトがミルマシンに投入されていきます)


(ちょうどモルトが流れてきた場面にも遭遇できました。ごうごうとかなり大きな音を立てて流れる大麦)


(マッシュタンはステンレス製)


(ステンレス製のウォッシュバックが6槽。もう一部屋あって計12槽。おっちゃんが掃除してた)


(中はこんな具合。発酵の段階別になっています)


(そしてスチルハウスへ!)


(どっしりと、かなり巨大なボール型のスチル)


(スチルは計6基。初留と再留がしっかりペアになっております)


(スピリットセーフと、スチルの状態を管理しているコンピュータ)


(人と比べると大きさが分かるでしょう。蒸留所のカラーでもある赤も配色され、奥の壁面には蒸留所のロゴと、おしゃれな印象のスチルハウス)


(反対側から見るとこんな感じ。佇むガイドのおばちゃんが可愛い)


(見学をしていると、どこからかパーカ姿のお兄ちゃんがやってきてコンピュータを操作し始める。ずいぶんラフな格好だが操作しているってことはスチルハウスの職人さんなのだろう。我々ツアー客にはニコリともしないで黙々と作業をしていた)


(そしてウェアハウスへ。扉の赤と黒カビの配色がなんだかおしゃれ。そしてガイドのおばちゃん可愛い。制服なのだろうか、ファークラスのロゴ入りコートにタータン模様の帽子がとても似合っている)


(これは何を撮ったんだっけな。。と思ったら、敷地内に野鳥がいたんだった。多分どっかの「花と動物」に描かれてるやつに違いない!と思って写真を撮ったのだが、結局なんだったのか。。ちょこまか動いて可愛い鳥でした)


(そして最後は試飲。こちらの部屋は晩餐会なんかでも使われるとか!そんなことを言っていた気がする!)


(試飲は10年。一緒にまわっていたご家族と思しき3人組は、ちょっといいツアー内容らしく、メニューから3種類選べていた)

 自分のグラスを傾けながら、しばらくそのご家族と軽く世間話。ここから今日の宿までは徒歩での移動となるので、あまり時間を気にすることもなく、飲み終えた後しばらくぼけーっとしていたら、案内のおばちゃんがやってきて「あなたも何か飲む?」と。てっきり有料試飲のことかと思ったので、ジェスチャー交えて「ノー」と伝えたのだが、おばちゃんはにっこり笑ったまま「40年を少しだけ」と言って奥へ引っ込んでしまう。40年!??そんな有料試飲でもいくら取られるのかしら、とびくびくしていたが、これがびっくりすることにまるっきりのサービス。そんなに物欲しげな表情でおばちゃんたちが飲んでるのを眺めていただろうか?というか、ちゃんと試飲のたくさんあるコースもあるのに、一番安い通常のコースを選んだ私がこんな待遇を受けてもいいのだろうか?様々な思いが去来するも、おばちゃんはにっこりと「ウイスキーを楽しんで」と笑いかけてくれる。
 手渡された濃い褐色の液体が入ったグラスを見ても信じられない。メニューを指差して「これ?」と確認するがやはり40年だと言う。ここまで来たらもうそうなのだろう。私の聞き間違いか、或いはおばちゃんが嘘をついてない限り、ファークラスの40年モノ。こんな長熟を飲める機会なんてそうそうない。なんとも感動的な経験でした。

 さて、その経験を引きずりながら蒸留所を後に。すぐそばには家族経営で有名なこの蒸留所のオーナー家族が実際に住んでいるお宅なんかもあって、チラ見しながらも地図とコンパスを取り出しルートを模索。
 そうしていると、一人のお兄ちゃんが自分の車を指差して「乗ってくかい?」と言ってくれる。ラッキー、と思いつつ「クラガンモアまで?」と訊ねると「残念、アベラワーまでだわ」と逆方向。でも、そう声をかけてくれただけでもとても嬉しかった。

 お兄ちゃんに手を振って、裏口のように脇にそれた道を抜けていくルートを選んで歩き出すとすかさず、後ろから来た車に声をかけられる。
 「エクスキューズミー」と言うので、しまった、こっちの道は通っちゃダメだったのかな?と思うと「あなた、もしかして?」と私の名前を口にする。なぜこちらの名前を知っているのかと思いつつ「イエス」と答えると「マイネームイズヘレン」と握手を求められる。
 ヘレンヘレン。。一瞬誰だか分からなかったが、思い出せば、今夜のB&Bのおかみさんが確かそんな名前だったような。。と、まさかの出会い。
 車に乗せてもらって、話を聞く所によると、なんでもご主人がファークラスでコックをしているらしく、いまはその帰りなのだと言う。ファークラスから宿までは結構歩かないと行けないなー、と思っていたので、かなりラッキー。40年は試飲させてもらえるわ、ガイドのおばちゃんは可愛いわ、宿のおかみさんに遭遇して送ってもらえるわ、なんとも幸運に恵まれた一日でした。

#Glenfarclas

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