ニッカが毎年出している余市と宮城峡の20年物ですが、今年もリリースしてきましたね。いつもなら余市と宮城峡の発売日がずれていたと思うのですが、今年は同時発売のようです。昨日、所用で鶴見のアーリーアメリカンを訪れてみると、両方あったので、早速飲めるかなと思ったのですが、なんと満席。しょうがないので、白楽のバー・ラディへ飲みに言ったらライフのキャパドニックと共に、この余市があったので早速飲んできました。相変わらずイイ色してますね。20年熟成の物を数樽ヴァッティングして作られています。
香りは、非常に甘い香り、プリンの底のカラメル、黒砂糖、若干のオレンジ。明らかに1988や1989とは異なる香りですね。
飲んでみるとさらにビックリ、バーボン樽由来の甘さが口に広がります。糖蜜、和三盆、蜂蜜、トフィー、バニラ、キャラメル、チョコレート、オレンジ、バナナなどを感じます。余市の蒸留器は知っての通り、世界でも希な石炭直火炊き蒸留。直火蒸留は釜の中のモロミの状態が、蒸気の間接加熱とは全く異なります。間接加熱では釜の中は、温度が上がっても百数十度程度ですが、直火炊き蒸留では釜と火の接触部分が数百度にもなり、モロミがメイラード反応(糖やアミノ酸、タンパク質の褐変反応)をおこし、チョコレートやカラメル、パンなどの香りが強烈に出来るわけです。それをバーボンやホグズヘッドなどの樽に寝かすわけですから、そりゃ上質な甘み、苦みを醸し出すわけですな。
今回の1990年物は、そういう意味では非常に”余市らしい余市”だと思います。しかし、前年以前の20年物と比べると、シェリー樽由来のブドウ系果実の甘さ、爽やかさというのが少ないというか、上記の蜜系の甘さとチョコレートやコーヒー系の苦みに負けてしまっている印象があります。っていうか単純にヴァッティング比率にシェリー樽が少ないだけなのかもしれませんが・・・
前年以前の余市20年は、バーボン由来の穀物系の甘さやシェリー由来の果実の甘さが口の中で次々と現れては消えるという、口の中が”味のデパート状態”だった気がするんですが、今回のはそう言った印象が薄いですね。若干バーボン、ホグズヘッド系に偏っている印象があります。とは言っても、今年のが決してまずいというわけではありません。前年以前と味が異なると言うだけです。僕自身、毎年味が異なっていいと思ってますから。そうでないと、毎年リリースする意味がないですからね。
あとは宮城峡20年ですが、これは近々飲んだらアップします。
#whisky and whiskey