さて、三十代も半ばを過ぎた我が人生。それなりに様々な事柄を乗り越えてきたわけだけれど、今回の旅に於いても、あるひとつの懸念が予想されていた。その為に私が用意したものは次の3点である。
①綿の手袋
ファッション性を考慮し園芸用品店でピンクの小花模様の品を求めた。
②ライフセラオレンジマスク
天然オレンジ抽出成分(保湿成分)配合のジェルシートマスクである。マスクは鼻を中心として上下2つのパーツに分かれており、まず、下のパーツの丸く開いた大きな穴を、口の位置に合わせて貼り付け、次に、上のパーツの丸く開いたふたつの穴を、目の位置に合わせて貼り付けるものである。これもファッション性を考慮し、白いマスクではなく肌色のものを選択した。
③立体型バイオマスク
『強力な6層で立体型の横漏れ防止パット』が、上下左右の空気の横漏れを防ぎ、口元がラクで話しやすくなっている。その上、『ノーズブリッジ』が鼻の部分にぴったりフィットし眼鏡が曇らない。
どうでしょう?これぞ三十女の機知というものである。ゴビ砂漠に匹敵する機内の乾燥から、女の柔肌を守るには、必要にして完璧な対策ではないだろうか?
すでにビジネスシートの多数の人々は眠りに就いている。窓は閉じられ、アテンダントたちもカーテンの向こうでの待機となっている。わたしはなるべく音を立てないように、細心の注意を払いながら、「乾燥対策必須3点セット」を装着して、手元の読書灯をつけ、リー・W・ラトリッジ著、『Diary of a cat』に没頭した。