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謎多きカニャック tabii kanyak

 そのお店のカウンターに腰をおろして、
 ぐるっと見渡す前にふと左の視界の端に妙なボトルが。

 「マスター、これは何ですか?」
 「トルコのブランデーです。」

 雪の結晶らしき文様が描かれたラベルは、
 ヨーロッパ風というよりオリエンタルな雰囲気です。
 怪しい?妖しい?感じを漂わせていますが、
 興味を持ったからには行ってみなければ。

 tabii kanyak 41%? 42% 700ml tekel Turkey
  最初にややPXシェリー熟成の様なセメダイン臭。
  それは強烈ではなく、和紙の様な枯れた香りに吸収される。
  デメラララムの様に濃く煮詰めたチェリー。
  薬草系リキュールの様なクセ。
  ミントあるいは草の青さと、刺激を抑えたアセロラな果実に、
  ザラメの様な甘さを水で薄めながら混ぜ合わせたよう。
  若干の花、添加した砂糖。
  揮発共に樹木の甘さ。
  1時間ほど放置すると尖りが全く消えて、
  心地よく枯れたブランデー。
  チェリー、木イチゴ、梅、
  バニラカスタード、弱くカカオ、
  襖紙、古い木を使った物置、鰹だし。
  残り香に酸味の無いイチゴと梅。

 トルコ語の辞書によりますと、TEKELは「酒家」ですね。
 tabiiはいろんな意味がありますが、「天然の、自然の」かな。
 kanyakは「コニャック、ブランデー」です。
 あ~、カニャックってちょっと本物っぽい発音だったんですね。

 ところで、表ラベルのDERECESI:41は41度の意味になりますが、
 何故か輸入者が貼ったと思われる裏ラベルには42度と書いてあります。
 1トルコ度数は0.976%なんてことはないでしょうし、何でかな?

 あと、写真にはありませんが首にはスピリッツのシールがありました。
 ブランデーに分類されないとしても、
 特級時代なら従価の表記があるはずですよね。
 ということは、90年代のボトルなのかなぁ。

 しかし、1時間ほど放置すると非常に味がこなれて、
 酸味ある果実が非常に伸びる、上等な蒸留酒となりました。
 若干のクセというかヒネがあるので、
 誰もが最高と言うものではないでしょうが、
 かなり楽しめる出来栄えです。

 こんな発見が出来たのも、
 使いきったところの炭酸の空き瓶に、
 このお酒を注いで持たせてくれたからですね。
 楽しい勉強になりました。感謝です。

 では、ごきげんよう。

#Kanyak

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