一昨日(2013.6.7)リリースが発表された、信濃屋オリジナルボトルのグレングラッサ。今回はキャンベルタウンロッホさんとのコラボでしたね。4月のBarShowで、このグラッサの驚異的な美味さを体感した方も多かったでしょう。
僕もBarShowで試飲して、先月下旬にキャンベルタウンロッホさんで飲んだのですが、改めてその美味さに惹かれてしまいました。もうリリース発表もありましたのでテイスティングを書いてみたいと思います。
「Seek the Ultimate」 for Campbelltoun Loch & Shinanoya
【色】
クリアで鮮やかな琥珀色
【香り】
瑞々しさと柔らかさを併せ持つウットリする麦汁の甘香。優しく刺激は無く、しっとりと上質で滑らかな香りが鼻にまとわりつくよう。こんもりと奥まったクリーミーな白桃ネクター、僅かに藁半紙、ホワイトチョコでコーティングしたピーナッツ、煮詰めた砂糖とショウガ。
【味わい】
やや薄めのクリーミーさがあり滑らかな口当たり。同時に舌先に僅かにシャープな刺激が乗る感覚。蒸しパンとカスタードクリーム、白桃ネクター。奥からフワッと割り箸のような木香と薄いオレンジっぽさが出てきて、遅れて薄いバナナセーキとマンゴーのドライフルーツっぽさが極控えめに広がる。
【フィニッシュ】
やや温かみのある柔らかさ。露店の水飴の棒をずっと口にくわえてるような、あの甘さと木の香味。薄いバニラファッジ。最後に甘渋さが残り、トロトロとした心地よい長い余韻。
BarShowで試飲したときには、やや尖がりを強く意識したのか、パイナップルのような酸味も感じられ非常にクリアな印象でしたが、改めて飲んでみると全体的に柔らかで蕩けるような美味さでした。
特に強く感じたのは、全体を包む清々しさとクリーミーな滑らかさ、蒸しパンとカスタードクリーム、薄いオレンジ、フィニッシュの甘渋さでした。香り・味ともに強烈でハッキリとしたものではないのですが、しっかりと主張してくるところが良いですね。
BarShowでお会いした方々の間でも、ホワイトボウモアの次か、試飲2トップの美味さだったと言われる方が多く、60年代ボウモアを引き合いに出す方もいました。これには「なるほどな~」と思う点があり、特にトロリとした滑らかな口当たりや香味の広がり方、ボウモアほどではないにせよフワッと香るトロピカルフレーバーには、似たような感動があるように感じられます。
あくまでも記憶に残る印象での話ですが、個人的な勝手なイメージで60年代ボウモアを引き合いに出すなら、'65の端正でスマートな印象と、'68の穏やかな過熟の果実感を併せたような印象に似ている点が多い…でしょうか?
信濃屋さんが「Seek the Ultimate」と銘打った渾身のグラッサ。出荷は6/13ですので、あと少しだけ待てば全国でもお楽しみいただけると思います。ちょっとお値段が…と思うかもしれませんが、グラッサの閉鎖期間と、それに伴う長熟原酒の不足を考えると、飲んでおいたほうが良いのは間違いないですね!
そういえば、グラッサはベンリアックに買収され、スチュアート・ニッカーソン氏もいなくなってしまったんですよね。2009年にFacebookをやり始めの頃、海外の方で初めて友達になった方でした。まだWHISKY LIVEだったときに来日した際、その話をして一緒に写真を撮ったのがとても良い思い出です。
※写真はキャンベルタウンロッホさんでいただいた700mlボトルですが、信濃屋さんでリリースされているのは500mlボトルです。
今回はグラッサに合わせて、何となくイメージした1曲を。デューク・エリントンとコルトレーンの「In a sentimental mood」です。収録はもちろん『Duke Ellington & John Coltrane』ですね。
広大な深い海底を漂うような、それでいて、どこか郷愁を感じさせる静かな旋律に身を委ねてしまうと、ゆっくりと体の隅々までモルトが染み込むような感覚になります。
http://www.youtube.com/watch?v=sR13ECD71xU
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