ソサエティの2009年クォータリー、オータム・ボトリングス。
Spanish oak 1st-fill Sherry butt 62.6%
1989年 19年
珍しく、ソサエティの日本語のオフィシャルコメントはありません。
(↓海外のソサエティサイトより)
The character reminded the Malt-meister of Guatemalan rum;
rich aromas of dried fruit, dark brown sugar and flaming Christmas pudding.
The unreduced palate was fantastically rich and thick,
with dark chocolate and cre`me bru^le´e.
We found struck matches and burnt rubber just at the end
− the Tour-guide could hardly speak − just waving her arms around excitedly.
The reduced nose brought comments like
“concentrated essence of figgy nut cake” and “Christmas pudding latte”.
The palate, in reduction, was more approachable − a lovely balance of sherry,
burnt sugar, black-jack liquorice and treacled figs − no sulphur or rubber.
香り
流石1st-fillで19年!重厚でコッテコテのシェリー樽原酒。
カカオパウダーに黒糖を練り込んで作られたチョコレート。かりんとうの甘味。
そしてプルーン(干した物)やオレンジリキュールの酸味が美味みを引き立て、
なおかつハッキリと分かる硫黄臭が嫌味無く適度にある。
そこに山崎特有のエステルが存在を主張し、アロエベラ果汁の優しい香りの後、
タイガーバーム(メンソール)の冷ややかでスッキリした風を感じる。
薪の暖炉では無く「手あぶり」の炭で暖を取りながら、
畳の敷かれた和室で飲みたいと思う、硬い香り。
味わい
一瞬、濃厚な黒糖の甘味を感じたかと思うと、
香りとは打って変わって、ビターカカオやローストしたコーヒー豆の
濃厚な苦みが、一気に舌を襲う。
まるで舌の奥の左右の裏に、パブロンゴールド(苦い顆粒の風邪薬)が
固まってくっついて、それがじわじわ溶ける様。(→エフェドリン?)
鼻から山崎らしいエステル香やオレンジオイルが抜けて行くものの、
舌で感じる苦みの拷問に負けてしまう。
加水後の味わい
香りはいかにもシェリー樽原酒のそれで、
ウッディ、焦しバター、焼いた青唐、タンニン、カビとゴム風船が現れる。
温かく柔らかい口当りに加水前の苦みを感じ、
さらに徐々に苦みがエスカレートしていくが、
一瞬だけタンニンが強いリンゴの芯のフルーツが現れる。
後味
しばらく経って、じわ〜っと湧いてくるリンゴの芯のフルーティーなタンニンに
アーモンドの薄皮のタンニン。
そしてクレームブリュレの表面のとっても苦いカラメル飴の苦みがせめぎ合う。
(ブリュレだけでクレーム無しという事)
総評
本国の価格は£65。今は円高なので£65(=1万円未満)で
買えたのなら許せるけど、この苦みに1.4万円は…。
そう感じるのに十分に苦い味わい。香りだけは良いんだけど…。
試飲していたらまず買わないレベルの、過ぎる個性が溢れるモルト。
これを飲んでからは、しばらくモルトをお休みしてブレンデッドウイスキー、
食事やデザートでリフレッシュしないと、
ウイスキーを楽み続けるのは難しいかもしれない。
もしくは、モルトウイスキーを4〜5杯飲んで、しっかり酔い、
口や鼻をモルトの香りで満たし、余韻を持たせてから飲むべきモルト。
それならば苦い味わいよりも香りを楽しめるはず。
この原酒をも操るブレンダーの、腕の凄さを示すためのボトリングか?
ソサエティが、なぜこのサンプルを選んだのか、意図とするところを知りたい。
“I wish it could be Christmas every day”
「このモルトを毎日飲もうと思うには、クリスマスケーキがあったら良いな…」
僕ならこう訳します。
#山崎