この春に発売されたばかりの本坊酒造マルスウイスキーの新商品。
1992年6月〜2009年4月(16年)、
46%、American White Oak、575本。
1992年6月は、マルスウイスキーの最終蒸溜年月。
つまりマルスウイスキーのファイナルヴィンテージとなります。
信州ファクトリーで今年以降に樽払い、瓶詰めして販売される商品としては、
最も若いシングルカスクモルトウイスキーと言えます。
(現在蒸溜所で発売されているMARS MALT GALLERY 1991は14年です。)
信州ファクトリーの工場長さんによると、
残り約80樽のモルト原酒は今後、大切に販売されていくとの事でした。
オフィシャルコメント
柔らかで繊細な香りとピート香をもち、新樽特有のバニラ香が際立つ。
色合いは、やや明るめの黄金色ながら、味わいに重厚さを感じる逸品。
香り
ほんのりと快いパフュームと、ピートの酸味を漂わせている、強烈な樽香(ウッディ)。
それらに旨みを持ったエステルが共鳴している。
さらに新樽由来のバニラや、ハチミツと
アプリコットジャムやイチゴジャムを塗ったトーストの甘く香ばしい香り。
そして奥から見え隠れするのはカブトムシ(腐葉土)の湿気った香り、
ホワイトチョコの甘味、石灰質な水。
味わい
最初に、本当に46度に加水されているのか疑う程に力強い酸味を伴った、
マスカットやキウイのフルーツ、そしてチョコレートの甘味をギュッと感じると、
すぐにタンニンの渋味がモルトに染み入っているのをしっかりと感じる、
コクがある苦みに変わる。
エステルが強いのか、舌に石を載せたかと思う程に「重い」。そしてパワフル。
ハッキリと味わいを感じ取れない濃さや重みは「痛さ」なんだろうか?
加水後の味わい
香りにエステルが開き、桃の木の枝、鉛筆の木といったウッディと、
柿やマンゴーのフルーツを感じる。
味わいには甘味が無くなり、酸味は少し残ったまま、ビターな味わいになる。
葡萄とコーヒー味が層になったゼリーの様に、
フルーツと香ばしさをうっすらと楽しむ事ができる。
後味
果実の種の中の仁のタンニンの渋味が、アプリコットの甘味と共に長く続く。
総評
いわゆる余市や羽生によくある「適度なピート+直火蒸溜+新樽」のパターンと
同じ路線のモルトだが、マルスウイスキーの新樽で感じる事がある
不思議な「濃い重み」は、味わいを分かり辛くしている。
エステルのせいだろうか?これで加水されていなかったら痛過ぎる
(濃過ぎる)かもしれない。やはりパワフルだ。
グラスに注いだ際、ボトルネックに流れる一筋のウイスキーが
真っ白に色付く様を見ると、相当に樽の成分がモルトに染み込んでいるのだと分かる。
#マルス(本坊酒造)