ピュアモルト山崎(現在のシングルモルト山崎12年)の発売25周年を記念して、
今年2月26日に発売された、シングルモルト山崎のオフィシャル商品。
700ml、アルコール度数48%。
サントリーテイスティングノート
色 :茶褐色
香り :レーズン、カカオ、炒り胡麻、バター
味わい:甘味、酸味、ほろ苦さ
余韻 :甘酸っぱさ、ほろ苦さ、心地よく伸びる
●中味の特長
スパニッシュオーク由来のバランスのよい甘味や酸味、
凝縮されたリッチな果実香のフルーティさと赤味の強い濃厚な色合いが特長です。
はじめにレーズンやカカオといった濃厚な香り、
続いてバターや炒り胡麻のようなまろやかさが広がります。
口に含むと、調和のとれた甘味・酸味に加え、ほろ苦さが感じられ、
心地よいなめらかな余韻がよく伸びます。
香り
焼いた青唐、焼き竹の子、焼きおにぎりや、(白米の)お焦げの
ニュアンスのある軽い焦げ臭に、大変甘酸っぱいストロベリージャム、
コケモモジャム、レーズンの果実様や、オランジェットが香り、
ほんのりとしたサルファーが旨みとして効いている。
熟成香は「元気」で芳香が強く、若くもシニアでも無い、
ちょうど飲み頃(10~13年位に感じられる)。
いわゆる山崎らしい鉛筆や建機を思わせるエステル香や
梅雨のしっとり感はやや控えめだが、ちゃんと感じられ、安堵する。
味わい
温かい舌触り。
まだ出来立てで熱く柔らかいべっ甲飴、血液の鉄味、
金柑(小さい柑橘類の果実)の甘味と酸味、ビターココアの苦みとコク、
凝縮したロイヤルミルクティーの濃い甘味と、それに優るタンニンの渋味。
加水後の味わい
加水で、香りは山崎のエステルが一気に引き立ち花開き、
グミグミっとした鼻の奥に染み入る香りも出てくる。
オフィシャルの山崎10年の様な桃をはじめとした甘い果実香に金柑の甘酸っぱさが香り、
そして人参や牛蒡といった根菜の甘い香りと揚げ油が漂ってくる。
「あっ、このウイスキーの主体は若いのに熟成香を感じられるタイプの原酒なんだ」
と想像できる。
味わいは苦みを増し、酸味と甘味は遠のく。
後味
珈琲や樹皮の渋味(タンニン)がしっかりと残る。
そして胃から鼻へ抜ける息は柑橘系の果実香になる。
総評
山崎のモルトには、もっと甘々のシェリー樽原酒もあるはずだが、
あえて甘味を主体にせず、大人びたコク、酸味と渋味を持たせた
仕上がり(ブレンド)になっていると思う。
中でも山崎らしいエステルが控えめでありつつ、完成され、
極めて上品にまとまっている香りや味わいは、一般的で誰にでも受け入れ易いはずで、
それはグローバルな販売戦略があるのだろうと思える。
その完成具合は、新車が発売されて間も無い頃の(レキサスブランドでは無い)
トヨタ車の高級セダン(クラウン・ロイヤルサルーン)をドライブした時の感覚。
完成度が高いが故の安心感と、相反する冷たさを持っている。遊び心や妥協は無い。
「価格を抑えつつ、高過ぎる完成度を持ったシェリー樽モルト」に出会った。
#山崎