1990年〜2008年 Cask No.9414 55.5% 237本
三陽物産株式会社主催のModern Malt Whisky Market 2008で
発売がアナウンスされたシングルカスク。
イチローズモルトはほとんどがホギーで熟成されているが、
珍しくバレル熟成のシングルカスクとなっている。
香り
泡立てた牛乳の様なクリーミーさに、栗の甘露煮の柔らかい甘さ、
焦した麦のコクのある香ばしさ。
メロンの皮、畳や干し草。そしてピート由来のフレッシュレモンのツーンとした酸味。
軽くファッティで高級感が漂う。
味わい
最初に羽生らしいベリー系の甘味と、煎り豆やビタミンを「ふわっ」と感じ、
そしてすぐに口の中で「じゅわっ」と広がる、メロンをはじめ、甘栗、
カスタード、レモン、マーマレード、マンゴー、マドレーヌなどの様々な甘味。
やがて白檀や高級家具が現れる。
それらの素晴らしい味わいが弱まってくると、
軽いスパイスの中にピート感の無い炭(木炭)の灰汁や、
栗の渋皮のタンニンの様な渋味が快く響き、甘味をしっかりと引き締める。
加水後の味わい
香りに快いエステルと清涼飲料水の甘味を感じる。
味わいは一瞬、薄くなった様にも感じるが、
意外にしっかりと甘味を感じられる様になり、酸味も心地よく現れている。
加水でダメになる訳では無いので、度数の高いストレートが苦手な方なら勧めるが、
やはりストレートの濃い味わいが良い。
後味
香りにも味わいにも焦げ感はそれ程に感じなかったが、鼻を抜ける香りは焚き火。
味わいは甘味を渋味がしっかりまとめているためか、
あまり長く続かないが、高級家具が快く消えて行く。
総評
長熟モルトにある熟れたメロンやビタミンの様な熟成感をしっかり感じられる、
とても17年とは思えない、複雑な味わいには素直に
「うぉ~、こりゃぁ良いわ~!」と声がでてしまった程。素晴らしい。
(他のイチローズモルトの)ウッドフィニッシュのカードシリーズの味わいが
シンプルに思えてしまう程、これはシングルカスクであるにも関わらず複雑で、
数少ないながらも、今まで出会った羽生のモルトの中では
(価格とのバランスを含めて)最高の味わいだと思った。
時間をかけて2杯程飲む間に、鼻の中は熟したモルトらしいバナナやメロン等の
熟した香りがしっかりこびり付き、本国のモルトに引けを取らない、
モルト本来の素晴らしさを味わわせてくれる。
あまりに美味しいので、購入した武蔵屋さんに2本目を注文しようとしたら、
すでに売り切れだったので(完売が早いっ!)、
発売元の三陽物産へ相談したところ、在庫1本を確保♪
ドリンカーの僕にしては珍しく、2本も買ってしまいました。
#羽生(ichiro’s)