MENU

093. ポートエレン / Port Ellen

2012.05.29

 前日。パーティで散々飲んで、踊って、したおかげで、この日はぐっすりと熟睡。同室の人のアラームで目を覚ますと、なんと時刻は7:09。この日も朝一のポストバスでポートエレンに向かう予定だったので、完全に大慌て。顔だけ洗うとホステルを飛び出します。

 この日、朝一での予定はポートエレン見学。といっても、こちらの施設。もちろん蒸留所としては稼働していませんし、モルティングスとしても通常ならば見学などは一切していないのですが、そこはフェスの最中。この日だけは見学も行っていて、しかし定員は少ない。もちろん完全予約制で、前日までにメールが必要なのですが、私が気付いた時にはすでに満員の様相を呈しており、それでも一応送っておくか、とメールだけはしておいたのですが、返信はない。はてさてどうなるものか、と思いながら、ポストバスに揺られること数十分。8時過ぎにはポートエレンについて、コープで朝ご飯にサンドイッチとリンゴを買って、10時からスタートするポートエレンのツアーを待ちます。


(今日もいい天気。湾を見渡すベンチで朝ご飯です)

 朝食を終え、しばらくうつらうつらとした後、時間が来る前に蒸留所周りだけでもふらふらしよう、と思い立ちます。

(どどーん。こいつはテンションあがる!)


(キルンスクエアとはなんぞ?と歩みを進めます)

(両サイドにはウェアハウスが並びます)

(さらに先へ進むと、立派なキルンとその奥にもくもくと煙をあげる三連の煙突の姿が)

 しばらく周りをうろちょろして時間を潰し、ほどよい時間になったので正面玄関の方へ移動します。この時、てくてく歩いている私を見て、まさしく大麦を運ぶトラクターの運転手さんが「ボウモアまで歩く気か?送ってくぞ」と声をかけてくれた。本当に嬉しかったのだが「モルティングスまで」と答えると納得したようでそのまま行ってしまった。ホントにみなさん親切だよなぁ。

(正面から突撃です)

 いままでもアポ無し、ノービジター蒸留所への突撃は数多くこなしてきた私ですが、そんな中でもやはり手強いディアジオさん。その上、こちらは蒸留所とも勝手の違う製麦所ということで、若干臆しつつもオフィスへ。

(入り口すぐのところにあったレリーフ)

 ものすごいオフィス感の漂う建物をずかずか侵入して行き、ドアをノック。「あの〜。ツアーに参加したいんですけど〜」とのうのうと声をかけると、意外にも慣れた、というか優しい感じで「下で待ってな」と指示をうける。
 おとなしく下で待っていると、しばらくしてお兄ちゃんが予約リストと思しきプリントを持ってやってきて「名前は?」と。さも当然のように自分の名前を告げると、お兄さん。眉をひそめて「その名前は載ってないぞ」と。なるほど。やはりそうであろう。私がメールを送った頃には定員を過ぎており、受付を締め切った後だった様子。それでもこんなところで引き下がるわけにはいかない!と「メールは送ったんだけど(←嘘は言っていない)」と粘り、それでもダメと見るや「参加できない?」と拙い英語表現を駆使して、参加したい意を表明。お兄ちゃんもしばらくは困惑していた様子だったけど、意外とあっさり「OK。じゃあ10£な」とその場でツアー代金も支払う。なんでも言ってみるものである。

 そうこうするうちに、他のツアー客もどんどん集まってきてツアー開始。最初にヘルメットと蒸留所の歴史が書かれたリーフレットをもらう。このリーフレットだけでも非常にテンションがあがった。

(ちょうど外でツアー導入の説明を受けている時に業者さんが大麦を届けにきていた)

(どっさりこぼれている)

 さっそく建物の中へ。製麦所の見学は初めてなのでわくわくである。そして、このツアーが、この旅でも有数の「もっと英語聞き取れるようになっておけば良かった」ツアーになることに。私の理解力がおよばない分、写真でカバーしていきます。

(まず通されたのが、こちらのウォッシュバックのようなものが並ぶ部屋)

(こちらは届いた大麦を浸漬させて発芽を促す工程。その際、各蒸留所の要望に応えて、水分量まで調節するんだそうだ。)

(発芽が済んだらタンクの底がぱかっと開いて、下のフロアへと進みます)


(階下のフロアはドラム式のタンクが並ぶ工場のような雰囲気)


(仰ぎ見ると、先ほどのフロアにあったタンクの下部が見えております)

(たくさんのローラーがあります)

(イケメンのガイドさんがここでの工程を説明してくれます)

 上のフロアで発芽を促された大麦は、こちらのフロアで巨大なドラムに入れられて、ゆっくりと回転しながらピートの煙と熱で乾燥させて、麦芽の成長をとめます。伝統的なやり方だと、キルンの上に麦芽を敷いて、下からピートを焚いて乾かすのですが、その方法だと手間がかかりすぎるのでしょう。


(ビフォー)


(アフター)

 もちろん、この発芽の度合いやピートをどれだけ焚き込むかなども、各蒸留所の要望に合わせて調節される。ガイドさんの説明では、どの蒸留所にどれくらい、みたいな具体的な数字もあったように思うのだが、残念ながら聞き取ることは出来なかった…。

(巨大なドラムの中も見学させてもらえた)

(一面の大麦の海。くんくん鼻を鳴らしてみたけれど、大麦の香りもピートスモークの香りもあまりしなかった)

(ご覧のようにタンクごとぐるぐる回転していく)

(そしてキルンへ)

(キルンと言っても上に乗せた写真のパゴダ屋根のではなく、隣にあった三連煙突の建物になります)

(がんがん焚かれて行くピート)

(煙はぐんぐん奥に吸い込まれて行く)

 こちらで焚かれたピートの煙は先ほどの麦芽の乾燥に使われます。キルン自体が巨大な掃除機のように、発生した煙をぐんぐん吸引していく様子はとてもおもしろかった。
 ピートは、自動か手動か分からないがキルンの上から適当なタイミングで降ってきてどんどんくべられていく。見学用に開け放しているため外にまでごろごろと転がってしまうのだが、それを大きなスコップでキルンに放り込み直す。私もちゃっかりキルンにピートをくべる体験ができました。

(かっこいい)

(最後はかつてのフィリングストア(?)へ)

(部屋の片隅にはペレットクーラー(?)もあった)

 というわけで、写真たくさんでお送りしたポートエレン・モルティングス。各蒸留所への供給プロセスや、ピートスモークを利用した乾燥の工程などとても貴重な体験をすることが出来ました。最後にはポートエレンのピートが詰まったロゴ入りグラスまでプレゼントしてくれて大満足。内容をきっちり理解できなかったことだけが忍ばれますが、ほくほく顔でポートエレンを後にします。
 

#Port Ellen

この記事を書いた人

前の記事
次の記事