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071. オスロスク / Auchroisk

2012.05.12

 スペイバーン蒸留所でのとても貴重なツアーを体験している間も、私の心の中には少し気にかかる所があって、というのも、今日はさらにもう一つ蒸留所を回りたいと思っていたから。それが、こちらのオスロスク蒸留所です。

 ロセスの町からは5マイル足らず、徒歩で1時間半ほどの距離と、すこし行くのにも時間がかかる。そのため、この移動を頭に入れて、さらには最終的にエルギンの町に帰るためのバスの時間も気に留めながらとなると、必然的に焦りがちになる。
 スペイバーンでの時間が嬉しい誤算だったため、一度はオスロスクを諦めようかとも思いましたが、スペイバーンを出た時点で再び計算を開始。
 結果、ロセスーオスロスク間を3時間で往復すれば、なんとかバスにも間に合うという計算に。
 このタイムテーブルだと、例え見学できたとしても、ゆっくりまわっている時間などは無い。むしろ、見学させてもらっていたら時間が無くなるくらいの感じである。まぁ、土曜日だし、時間も遅いし、見学はさせてもらえないだろうから、とりあえず行くだけ行くか、という感じで向かい始めます。
 
 時間的な余裕は殆ど無いことが分かったので、ちゃきちゃきと進みます。が、このルートが中々の曲者で。私も、この旅がスタートして以来、蒸留所を巡る毎日の中で、かなりの距離を歩いてきたつもりです。単純に距離だけの問題で言えば、キースからノックドゥ蒸留所に向かった9マイルほどの道程の方が長いし、大変かと思うのですが、このルートには、単純な距離で計れない、過酷なものがありました。
 それが、ルートの高低差というもの。地図では分かりませんが、かなりのアップダウンのあるルートで、しかも傾斜も急勾配。中には膝に手をついてひーこらひーこらいかなくては上れないような、強烈な坂道もあります。
 しかも、私の場合はペースを落とすことが出来ない。時間との勝負ということもあり、よりいっそうルートの過酷さが際立つ羽目になりました。
 もし、私と同じように車以外の手段で蒸留所巡りをしたい、と考えている方がいたとしたら、このルートだけはオススメできません。


(途中、スペイ川にかかる橋を渡ります。この橋を渡った後の坂がまた急だったんだよな。。)


(線路が走る橋)


(この牛たちが可愛かった。じーっと私の様子を窺っているかと思ったら、突然、身を翻して私から逃げるように駆け出し、ある程度距離を保ったと思ったらまたこちらを振り返ってじーっと。そんなことを2回も3回も繰り返していた)

 そんなこんなでせっせせっせと歩くこと1時間過ぎ。かなり急いで歩いたからか、予定より20分ほど早く、蒸留所のある町が見えてまいりました。


(かなり広大な敷地を持つ蒸留所)

 便宜上”町”といいましたが、実際この辺りは蒸留所以外に何も無く、人家と思しき家も2,3軒散らばっている程度。しかし、問題の蒸留所がとにかくバカでかいために、なんとなく町っぽい雰囲気になっております。
 それもそのはず、こちらの蒸留所はディアジオさんの持つ蒸留所の中でも、規模の大きい部類に入り、とくにウェアハウスはかなり広く、他の蒸留所で生産されたモルト原酒も、こちらでまとめて熟成されているほど。

 到着したのは19時過ぎ。ただでさえ午後5時を過ぎれば終業の時間で人がいなくなるのに、さらにこの日は土曜日。所内を見回すも、当然人っ子一人いない。いまさらオフィスに声をかけても無人なのでは、と思い、どうせ見学できる時間はないし、と足早に中を回らせていただくことに。


(三角屋根のかわいい建物)

 ディアジオさんの持つ蒸留所はどこでも、入り口に業者さんのための所内案内図が設置されているので、それを参考にスチルハウスの位置を見当付け、さささーっと所内を移動。
 伊達に何軒も蒸留所を巡っていないのか、あっという間にスチルハウスを発見することが出来、しかも少しドアが開いている。隙間から中をうかがうと、立派なスチルがしっかり並んでおりました。


(むむむっ!)


(こちらが初留釜。ランタンヘッド型のスチルが4基)


(こちらが再留釜。初留釜とほぼ同型)

 計8基のスチルは蒸留所としてはかなり大規模。シングルモルトとしての知名度は低いですが、それもほとんどがJ&Bを中心としたブレンド用原酒にまわされるからです。

 無事スチルハウスを覗き見ることが出来て満足。結局、所内にいる間は誰ともすれ違うこと無く、15分足らずで見学は終了。帰りもちゃきちゃき歩いて、バスの時間には30分以上の余裕を残して帰り着くことが出来ました。

#Authroisk

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