2012.06.06
さて。今回はキンタイア半島とローランド地方に挟まれたクライド湾に浮かぶ、空豆の形をした小さな島、アラン島にある唯一の蒸留所をご紹介です。
(立派なビジターセンターも併設されている)
(ビジターセンターの正面玄関をくぐると大麦畑がひろがっている)
こちらの蒸留所は1995年に創業したばかりの、比較的新しい蒸留所。かつては50を越える数の密造蒸留所などがあったと言われるアラン島で、150年以上も前に絶えてしまったウイスキー造りの文化を復活させました。近年は蒸留所最長熟となる16年ものもリリースされ、年々楽しみな成長を遂げている、現在進行形の蒸留所です。
こぎれいなビジターセンターにビビりながらも、バックパック担いで受付に突入。ツアーも何種類か用意されており、観光にもかなり力を入れているという印象をうけました。
私が予約した時間になると、他にもツアー客が続々と集まり、最終的には20人を越える大所帯に。しかもその内8人はまだ小さなお子さんで、かなり賑やかなツアーになりました。
(ツアー開始は、こちらの薄暗い部屋から)
ツアーが始まると、まずは洞窟のような薄暗い室内に案内され、ここでのビデオ鑑賞がスタート。ウイスキーの基本的な製造工程や、アラン島の特色などを紹介するVTRが流れる中、早速、試飲の10年が配られます。子供たちもたくさんいたのですが、彼らにはファンタだかオランジーナだか、とにかくそのようジュースが配られていた。
そんな中、ガイドのおっちゃんが身振り手振りを加えながら色々と説明してくださるのですが、このおっちゃんがかなりのエンターテイナー。早口でまくしたてるような口調ながら、大げさなアクションや豊かな表情の変化などでツアー客を楽しませようという気持ちが伝わってきて嬉しくなります。
ガイドさんのパフォーマンスを楽しませてもらったあとは実際の製造棟へ。
(がやがや)
製造棟は、マッシュタンからスチルまでの設備が全て一部屋に収まるサイズ。コンパクトで、まだ新しいからかピッカピカの印象でした。
(ツアー客ががやがやする中作業を続けるおっちゃん)
(もわわ〜ん。内側の天井部に細長いパイプがぐるーりと輪になっており、そこからシャワーのように温水が浴びせられる仕組みになっていた。たいていの蒸留所が、どばどばと温水を加えるタイプのマッシュタンなのに対し、これは珍しい。あと、上部についている三角形の角状のものも見慣れないがこれはなんだろうか?トバモリーなんかでも同様の角はついていたが…)
(マッシュタンの脇にはアンダーバックとウォートクーラー、その奥には大きな二つのタンクがある)
(がやがやがや)
ウォッシュバックは木製のものが全部で4槽。ガイドさんのおちゃめな罠に引っかかったお客さんが、発酵の香りをものに嗅いでしまったのか悶絶していた。
(中には泡をカットするためのプロペラがついている)
(がやがやがやがや)
(向かって右手が初留釜で)
(左手側が再留釜)
スチルはどちらもかなり細長い印象。特別小ぶりというわけではないが、ストレートヘッドでネックがこれだけ細く、ラインアームもほぼ水平くらい。かなりライトな印象のモルトを製造する意図が読み取れます。関係ないかもしれないけどコンデンサーもかなり細身。
(なかなか絵になる蒸留所です)
中を見学したら、ビジターセンターまで戻って、もう一杯試飲。今度はソーテルヌフィニッシュのモノを飲ませてくれた。ワインの癖が出ちゃっているように感じて、個人的には最初に貰った10年のほうが好みだったな。
そんなこんなでツアーは終了。しかし、こちらのビジターセンターはホントに充実しており。ショップには限定ボトルやグッズがたくさん並んでいるし、階段を上った2階には、カフェなんかもあるしで、しばらくふらふらしておりました。
(地元の小学校のために作ったというスペシャルボトリングなんかもあった)
(蒸留所の裏手には雄大な山々がそびえている。山には、アランのボトルに描かれている鷲のシルエットのモデルになった、2羽のゴールデンイーグルが住んでいるとのことで、時折、優雅に上空を旋回している姿を目撃することもできるんだそう)
#Isle of Arran