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104. オーヘントッシャン / Auchentoshan

2012.06.08

 グラスゴーでの再会を果たしたとはいえ、我々は結局一人旅の途中。ザックと一緒の部屋で目覚めて、シリアルとトーストの朝食を済ませると、この日も別行動。「シーユーレイター」と声をかけて、一足お先に宿を出ます。(ところで、英語で「いってきます」ってなんて言うんですかね?)

(朝食付きのホステルはいままでいくつか宿泊してきたが、やはり大都市のホステルは違う!シリアルも、トーストも、フルーツも食べ放題で、さらにジャムやバター、コーヒーまで!)

 目指すはオーヘントッシャン蒸留所。日本のサントリーさんが所有する蒸留所です。
 この旅も、グレンキンチー以来にローランドの蒸留所に戻ってきたのかと思うと、感慨深いものがあります。

 グラスゴーからのアクセスはは、まず、バスで40分ほどのオールド・キルパトリックという場所を目指します。バス停で降りてからは、地図で現在地を見定めながら、方角と道路の向きだけを頼りにふらふらとルートを模索。こっちの方角のはずなんだけどなー、なんてふらふらしていると、住宅のドアから出てきたおっちゃんに声をかけられる。
 一瞬、私有地に迷い込んでしまったのかな?怒られるかな?と身構えるも、おっちゃんの口から「ディスティラリー」という単語が聞き取れたので一安心。どうやら「ディスティラリーに行くのか?」というようなことを訊いているようで、さらに「たくさんの人が蒸留所を目指してここを通るから、そうじゃないかと思ったよ」と道程を細かく教えてくれる。いきなり声をかけてきたから何事かと思ったが、完全に善意の人でした。訝ってすみませんでした。

 おっちゃんの善意のおかげもあってルートは間違えずに済む。しばらく歩くと蒸留所の姿が見えてきます。

(なんでも一週間後にはオーヘントッシャンのウイスキーフェスがあるらしい。少し日程を遅らせて、このタイミングでくれば良かったなー、と少し後悔した)

 門をくぐり、さらに奥へ。

(ビジターセンターの看板の隣にはスチルのオブジェが)

(スコットランド国旗はためくきれいな蒸留所である)

 勇んで門をくぐったはいいが、朝一だからかなにやら慌ただしい雰囲気。加えて、フェスの準備だろうか、所内の壁を白く塗り直したりしている業者さんなんかもいて、邪魔しちゃ悪いような雰囲気です。しばらく遠巻きに業者さんの作業など眺めていたのだが、意を決して作業の間をずんずん進んでいってビジターセンターへ辿り着きます。

 ツアーの受付を済ませたら併設のショップをふらふら。

(様々なボトルが飾られていた。中でも目を引いたのが、右上の1957ビンテージ、50年もの!)

 ツアー開始の時間になる前に、一組のカップルが来て、私を含めた合計3名でツアーは開始です。

(マッシュタン。おっちゃんがガイドをしてくれる)

(中はご覧のようなタイプです)

(ウォッシュバックは木製のものが4槽)

(写真を撮る手前のカップルと、我々を無視して中の様子を確認し始めるおっちゃん)

(そしてスチルハウスへ。右から順番に初留、後留、再留釜)

 ここの蒸留所の特徴といったら、なんといってもこちらのスチルを使った3回蒸留!通常、スコッチモルトは2回蒸留で造られるもの。例外的にスプリングバンクの2回半蒸留があったり、ブルイックラディが4回蒸留のものを造ってみたりしている以外は基本的に2回蒸留です。しかし、このオーヘントッシャン蒸留所が位置するローランド地方のモルトは、伝統的に3回蒸留を行っていた地域で、こちらオーヘントッシャンでは現在もその3回蒸留を守り続けているのである。いまでもこの製法で造られているスコッチモルトは、特別なものを除けば、こちらの蒸留所だけ。とても特徴的なものなのです。

(3回蒸留の仕組みを表している図があった。通常ウォッシュスチル(初留釜)とスピリットスチル(再留釜)のみだが、ここではその間にインターメディエイトスチル(後留釜)が設置されている。説明をよく読んでみると、当初は8%ほどのアルコールだったウォッシュが、3つの蒸留釜を通して、最終的には81%まで精製されることや、再留や後留で抽出された蒸留液の一部は、次回の再留・後留の際に混ぜ合わされて、再び蒸留される仕組みなどがわかる)

(蒸留の際、一番始めに抽出されるフォアショットと呼ばれる液体も展示されていた。香りを嗅がせてもらったが、どんなだったか…。ニューポットを強くしたような油の香りがあったような…。)

(当然、スピリットセーフも3つのスチル分ある)

 見学を終えると、最後はまたこぎれいな部屋に戻って試飲。一緒に回ってたカップルとおっちゃんと世間話のようなことをしながら、試飲をすませます。

(やっぱりあるスチルのオブジェ。こんな形のスチルじゃなかったけどな…。)

 とにかくスチルの仕組みが興味深かった蒸留所。ビジターセンターもきれいだったし、グラスゴーからも近いので、オススメの蒸留所です。

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