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アラン島→グラスゴーへ

2012.06.07

 いま思い返しても、ロッホランザはなにもない町だった。
 夕方5時を待ってホステルにチェックインを済ませ、そのあと食事に行こうと考えたのだが、そもそも食事が出来るような場所が、いままで居座っていたパブくらいしか無い。ならば、食料だけでも買ってホステルで食べるか、と思うも、スーパーだって無い。ポストオフィスは閉まっている。ないないづくしでどうしようも無い状態で、完全に困ってしまう。仕方なく、今朝方にキャンベルタウンのB&Bのおかみさんが出がけにくれたチョコを食べながら、ホステル備え付けのコーヒーなんかを飲んで飢えをしのぐ。同室には私の他に4人ほど宿泊していた様子だが、22時を越えても彼らが帰ってくる様子は無い。どこかでキャンプでもしているのだろうか。それまで、アイラ島での10日間やキャンベルタウンでのB&Bなどで人の温もりに甘えっぱなしだったので、久しぶりに孤独を感じる夜だった。

 翌朝。これ以上ロッホランザにいても仕方が無いので、朝一のバスで島の南側にある町ブロディックを目指そうと思い、6:40に目覚ましをかけて起床。てきぱきとシーツをたたんで準備を済ませ、さっさとチェックアウトを済ませようと受付に行くも、なんと、またしても受付が開いていない。てっきり7時には開くと思っていたのだが、7時半からだったようで、そのまま何も言わずにチェックアウトしてもよかったのかもしれないが、結局開くのを待ってから宿を出ることに。おかげで予定より一時間遅いバスに乗り込んだ。
 このバスはスクールバスだったようで、子供たちがわんさと乗っていた。

 ロッホランザからブロディックまではバスで40分ほど。当初の予定では、バスの時間からすぐのフェリーに乗る予定だったのだが、チェックアウトに手間取ったおかげで、ブロディックで2時間ほど時間を潰さなくてはいけないことに。
 ブロディックはロッホランザに比べるとなんでもある。古城もあるし、チーズ工場やブルワリーなんかもあるらしく、どちらも魅力的である。しかし、まずは腹を満たそう、スーパーに入ってサンドイッチを購入し、港を一望するベンチに腰掛けて食べる。朝食を終えてなんとか一心地ついたので、それではブロディックを散策しようかね、とチーズ工場のある方角へ向けててくてくと歩き始める。
 が、しかし。もとよりブロディックでの観光は視野に入れていなかったため、チーズ工場やらがどの辺りにあるのか、詳細が分からない。先ほどのバスの車窓から、なにやら看板を見かけた記憶はあったので、とにかくそちらの方角へ向けて歩みを進めたのであるが、行けども行けどもゴールは見えてこず、そうこうするうちにフェリーの時間も差し迫っているように感じて、これでは見学している暇もないかもな、と結局踵を返すと、ブロディックの港付近にある土産物屋などをちらちらするだけに留まってしまう。ロッホランザに比べると、かなり栄えていて、見物もたくさんあっただけに、これはもったいないことをした。安宿があるのがロッホランザだったのでそちらに泊まったのだが、別段貧乏旅行をしているわけではないのなら、ブロディックに宿泊するのがオススメである。

 フェリーではアードロッサンという港を目指します。一時間足らずでアードロッサンに到着する事が出来、さらにそこから電車に乗り換えて一時間ほど。ついに、スコットランドの首都、グラスゴーに到着です!

(なんだこの駅!)

(なんだこの街!!)

 思えば、しばらくの間アイランドホッピングでのどかな風景ばかりを楽しんでいた私。それこそ、アバディーンとかエルギン以来の大都市で、駅に到着した際はあまりの人の多さに笑ってしまった。つい昨日まで、アラン島で羊と戯れていたんじゃないか、と。おそらくこの駅だけで、ジュラ島の人口くらいいるだろ、と。
 もうバス停を探すのも一苦労で、とにかく大量のバスがいったりきたりしている。ひとつのバス停から、様々な目的地へのバスが出ていることなんかも新鮮で、一体どのバス停で待って、どのバスに乗ればいいのかさえ分からなくなる状態。
 とりあえず、ファストフードでも入れようと、テイクアウェイ店へ入ると、1.99£でチーズバーガー+缶ジュースもついてくる、という激安価格。店員のおばちゃんは極めて無愛想だったけど、この安さは魅力的だわ、と往来を眺めながらベンチで食事。はてさて、この大都会で私は生き残れるのだろうか、と思いながらも、なにおう。俺様だって大都会トーキョーから来てるんだぞう。俺が「東京」って言ったら、いままであったスコティッシュは口を揃えて「ビジータウン」って言うあの東京だぞ。グラスゴー市民に負けてたまるか、とまるで訳の分からない虚勢を張りながら、次の目的地へと向かうバス停を探したのでした。

(翌日には、ロンドンオリンピックの聖火がグラスゴーに到着するとかで、街の中心ではロックフェスみたいなものが開催されていた。入場には料金がかかったので外から覗き見ただけだが、だいぶ楽しかった!)

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